合同自主トレでは故障を隠そうとする新人の動きを見逃すな

公開日: 更新日:

「どうです。力感がないように見えて、スピンが利いてる。即戦力ってわけにはいかないでしょうけど、理想的なフォームでしょう?」

 新人合同自主トレ初日のこと。オレが担当した高校生右腕がキャッチボールを始めたんで、そばで見ていた監督に水を向けたんだ。

「そうですね。先が楽しみじゃないですか」

 新年早々、監督のまんざらでもなさそうな表情を見て気分が良くなり、つい気が緩んだ。

 そういや、キャンプ前に一度はラウンドしたいよなぁ、なんて思いながら、その場で無意識のうちにゴルフスイングを始めたそのときさ。

「おまえ、そんなことしてる場合かよ。選手の動きをよく見ろって、いつも言ってるだろうが」

 部長がすっ飛んできて、年明け早々、説教だ。

「自主トレまでにやっておく練習メニューは渡しているし、体をまったく動かしていないはずはない。けど、高校生が練習中に首脳陣、報道陣、ファンと、これだけ多くの視線を浴びたのはおそらく初めてだろう。どうしたって余計な力も入るし、故障しないとも限らない。ちょっとしたケガであっても、自主トレ開始早々、リタイアできるはずもなく、無理をしているうちに大きな故障につながる可能性もある。といって自主トレ期間中に首脳陣はアドバイスできない。オレたちスカウトが選手の動きをチェックして、少しでもおかしなところがあれば、本人に確かめるとか、ブレーキを踏むべきだろ」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…