合同自主トレでは故障を隠そうとする新人の動きを見逃すな

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 とはいえ、部長が言うように、選手は異変を感じたとしても、それを隠そうとするだろう。

「だったら、よほど注意深く、それこそウの目タカの目で動きを見守らなきゃ……」

 言い掛けたところでヤブヘビだって気付いたね。

 なんでも、部長自身も痛い経験をしているらしい。担当した高校生投手が自主トレ中に軽い捻挫をした。だからといって休むわけにいかず、無理をしたまま練習を続けてキャンプイン。重度の肉離れを患った末、上半身に頼った投げ方がたたって肩痛に。

 結局、全盛時のピッチングができないままユニホームを脱ぐことになったそうだ。

「だから選手には言ってるんだ。アマチュアの根性は無理をしても頑張ることだが、プロの根性は故障する前に自分でブレーキを踏むことだとな」

 ランニング中はもちろん、歩いているときの足の運び、キャッチボールの腕の振りや角度……ほんのささいなケガや故障が結果として選手生命を絶つかもしれないと思ったら、それこそゴルフのスイングをしてる場合じゃないって思ったね。

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