巨人クックは“悪癖”そのまま…マシソンの代役へ力不足露呈
ベンチで原監督は何度も首をひねっていた。
19日のオリックス戦。同点に追いついた直後の八回だ。マウンドには新外国人のクック(31)。右肘痛から約1カ月半ぶりとなる一軍復帰だったが、キャンプから指摘された課題は何も解消されていなかった。
他球団スコアラーがこう言う。
「クイックが不得手で、走者を出すと過剰に神経質になる。離脱前も、開幕から守護神を任されて8試合で6セーブを挙げていたものの、付け入るスキはある、とみていました。修正? できていませんでしたね」
先頭打者を内野安打で出塁させると、次打者の初球にワイルドピッチ。走者が二塁に進んで、いよいよ制球が乱れた。1死後にストレートの四球を与えてピンチを広げ、安打も重なり1死満塁。迎えた小田にもストライクが入らず、2ボールから真ん中に入った直球を簡単に外野に運ばれ、勝ち越しを許す犠飛となった。
評論家の橋本清氏がこう言う。
「クイックが苦手な投手は、どうしても投げ急いでしまう。早く投げ終えたいから、左肩が早く開く。左肩が開くと、球は右打者の内角に抜けてしまうか、外角に引っかけてしまうか。この日のクックはその典型でした。巨人は前日の登板で負傷降板したマシソンが、右足内転筋の肉離れと診断されて登録抹消された。やっと戻ってきた絶対的セットアッパーが離脱する一大事で、首脳陣はクックがその穴を埋めてくれればと期待したはずです。しかし、きょうの投球を見る限り、走者をそれほど気にしなくていい点差が開いた場面ならともかく、セットアッパーとして僅差の勝ち試合を任せるには不安が大きいという印象ですね。他球団は今後、間違いなく弱点を突いて、足で揺さぶってくる。150キロ超の真っすぐという武器を持っているクックが、打者勝負と開き直れればいいのですが……」
試合後、原監督はクックについて「もう一、二度見てみないとね」と話したが、不安定なリリーフ陣のやりくりはまだまだ続きそうだ。