国内では6年ぶり プロボクシング「日韓対抗戦」観戦ルポ
興行主が語る日中韓のボクシング事情
それぞれの試合では応援が白熱したものの、終わってみれば穏当な興行だった。前回のDANGAN主催の親善試合は日本と中国の対抗戦。その時はボクサーのレベルの違いを感じたが、韓国人ボクサーは打たれ強く、ハートの熱さも伝わってきた。今回興行を開催したDANGANの古澤代表取締役に話を聞いた。
――なぜ韓国や中国と親善試合の興行をしているのですか。
「日本国内で韓国とやるのは今回が初めてですが、日中戦はこれまで4回開催しています。そもそも最初は中国側から選手5、6人を日本の試合で使ってほしいという話が来たんです。中国はプロボクシングを認めていなかったので歴史が浅い。ボクシングは韓国や中国よりも日本のほうが盛り上がっているし、組織も整っていることが理由でした。それで、そうこうしていたら対抗戦ができないかと向こうが言ってきたというわけです。まだ中国選手のボクシングは荒削りですね」
――フィリピン戦などもやられているのですか。
「フィリピンやタイとの対抗戦はすでに独自に興行をやっておられますね」
――数年前、私もフィリピン戦を観にいきましたが、予想外にフィリピンが勝ち越しましたね。
「びっくりしましたね。勝又ジムさんの興行でしたね」
――会場はえらく盛り上がっていましたね。対中戦も前回の興行を見しましたが、日本のボクサーとのレベルの差を感じました。
「でも同じメンバーで上海で日中戦の興行を開催したのですが、そのときは選手はよかったですよ。やはりアウェイとホームということがあるんでしょう。今後5年、10年と続けていけばと中国のボクシングも相当違ったものになるでしょう」
■日韓対抗戦開催の経緯
――いま急速に成長している途中ですね。韓国とはどのような経緯で対抗戦をやることになったのですか。
「いま韓国のプロボクシングはコミッションが5つに分裂してボクシング界は落ち込んでいます。昔より衰退してしまっています」
――日本のキックボクシング界と似ていますね。
「そうです。ただ韓国でもKBMとKBFという2つのコミッションはしかっりしていて、両者は提携していくことになりました。この二つのコミッションに所属する選手は交流しています。そこでさらに韓国ボクシングを盛り上げるコンテンツとして日韓戦をやりたいという話になったんです。すでに韓国内では日韓戦は何度もやっています。これから韓国内でもボクシングを盛り上げていきたい」
日本のメディアが盛んに煽っている日韓関係の悪化は、ボクシングの現場ではまったく関係ないという。
「今回は日本が全部勝ってしまいましたが、韓国側も『1勝くらいしたかったが、いい経験になった』と言ってくれていました。今回の試合は在日韓国人にはほとんど知られていないので、韓国選手側の応援団はほとんどいなかった。韓国からは30人ほど来ましたが、試合が日曜日ならば100人は来られたと言っていました」