東京五輪陸上「日本は世界の笑いモノに」元陸連幹部が警鐘
「そんなバカな話があるか」とお怒りなのは、元陸連専務理事(現顧問)の帖佐寛章氏だ。
2020年東京五輪開幕(7月24日)まであと1年。メインスタジアムの新国立競技場は11月末の完成に向けて仕上げ段階に入っている。予定では12月中旬に竣工式、同月21日にアスリートらが出演するお披露目イベントが行われる。「こけら落とし」は、来年元日のサッカー天皇杯決勝だ。
冒頭の帖佐氏が激怒しているのは、来年の「日本陸上競技選手権」は新国立ではなく、大阪のヤンマースタジアム長居(6月25日から4日間)で行われることだ。
陸連の風間明事務局長は、「来年の日本選手権は新国立で6月末に開催したいと希望したのですが、(東京オリンピック・パラリンピック競技大会)組織委員会は『5月中旬以降は開会式の準備に入る』という。繰り返しお願いしたがどうしても無理だというので(新国立での開催は)断念せざるを得なかったのです」と説明する。
前出の帖佐氏が言う。
「国立競技場で行われた1991年の世界陸上東京大会で、私は大会本部長を務めた。メインスタンドの最上階にある司令塔から一歩も出ないで各競技責任者らに指示を出していた。私の後ろには国際陸連の役員が張りついており、中継画面とタイムテーブルを常にチェックしていた。五輪も世界中に中継されるので1分1秒の遅れも許されない。米国で五輪が開催される時は、代表選考会を兼ねた全米選手権を五輪の陸上競技とまったく同じ時間で行うのはそのためだ」