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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

阪神は育成が重要 今年1年“大山4番”こだわってほしかった

公開日: 更新日:

 だいたい、CSのシステム自体も厄介だ。現在4位の阪神はCS進出の可能性が残されているため、その短期的な盛り上がりを目指して球場に詰めかけるファンも大勢いる。だから、ひとつの敗戦にも批判が飛び交いやすく、その敗因を大山に求める声も多くなる。CSがあるばっかりに、勝利を度外視してまで若手を我慢するということが難しくなるわけだ。

 だが、正直なところ、そんなにCSって重要だろうか? 私は今の阪神の状況でCSに進出できたとしても、うれしくもなんともない。いや、以前はそれでも喜べたところがあったが、今はすっかり飽きてしまった。

 チームの最重要課題である育成問題(特に4番とエース)が解決されないまま、なんとなくベテランや外様の奮闘でCSに滑り込んだものの、下克上までは果たせず終戦する――この既視感ありありのパターンで潤うのは、観客動員数や新聞の部数、テレビ・ラジオの視聴率(聴取率)を伸ばせる球団と周辺マスコミだけだ。むしろ、そこが下手に潤うから、チーム改革に対する危機感が芽生えないのではないか。


 もっとも、そんなモヤモヤも大山が今後覚醒すれば晴れるのかもしれない。実際、降格後の大山はサヨナラホームランや猛打賞など、一時的な活躍は見せた。いや、それならそれで今度はいつ4番に戻すのかが問題になるだろう。6番や5番で打撃開眼すれば打順をいじりにくくなるし、たとえ4番に復帰したとしても、そのときのプレッシャーは想像に難くない。

 うーん、やっぱり大山の4番問題は下手に動けば動くほど、かえって迷路に入り込んでしまうように思う。悩ましい。

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