「鏡モチ」体型で…ランニングではアゴを出し常に周回遅れ
「小学生の大会で私が審判をしていたので、存在は知っていたんです。だから最初から相撲部に入るものだと思っていたんですが、それがハンドボールでしょう? 何とか相撲部に入れたくて、『相撲部に入ったら走らなくてもいいよ。試合で遠征に行ったらおいしいものを食べられるよ』と声をかけたんです。当時の3年生部員に『うまいこと言って勧誘してくれよ』と水を向けたこともある」
ハンドボールか相撲か。朝乃山は誰にも相談せず、相撲を選んだ。「彼のお父さんから聞きましたが、家族にも事後報告だったそうで。プロ入りの際もご両親にはすべて決まってから話したそうです」とは杉林教諭だ。
■不完全燃焼
とはいえ、中学時代の朝乃山は初心者もいいところ。基礎練習と筋トレで汗を流す毎日だった。
「中学時代は特にずばぬけた何かはなかったですね。試合に出られるようになってからは、良くも悪くも相手に合わせて相撲を取っていた印象。基本は左右関係なく四つ相撲で、自分より大きな相手には押し相撲で攻めていた。現在のような右四つになったのは、3年生のとき、左ヒジを骨折してからだと思う」(杉林教諭)