考える力を鍛えられた近大相撲部時代の「教えない指導」

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■「おまえならどう思う?」

 伊東監督は部員に対し、「こうしろ」と決めつけることはしなかった。まず、「この場合、おまえならどう思う?」と力士に考えさせる。その上で「こういう相撲を取ったらどうだ?」と提案したり、「この場合はこうだよね」と自ら手本を見せて諭すことが多かったという。いわば、「教えない稽古」で部員に考える力を身につけさせた。

「伊東監督は『食べるのも練習だ』と、合宿所では夜食も食べさせていました。主に1年生が焼き飯を作ったりしていましたね。一人一人に『今月は5キロアップ』など目標を立てさせて、達成したら『この1カ月間はどうだった?』と詳しく話し合う。その上で『それならもっといけるな』と、さらに目標を立てさせていた」(南氏)

 朝乃山は三段目付け出しで高砂部屋に入門。2016年3月場所で初土俵を踏むと、翌年の同場所では新十両として関取の仲間入りを果たした。

 コツコツと積み上げた自身の努力、そして恩師たちの存在があったからこそ、「富山の人間山脈」は高くそびえ立っている。 (おわり)

【連載】新大関朝乃山 “富山の人間山脈”のルーツ

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