松井大輔「コロナ騒動はサッカー界の概念を大きく変える」
日本サッカー界にとってはW杯が最優先だから、東京五輪世代でも五輪優先とはならない選手が出てくる可能性も高いですよね。現状で言えば冨安(健洋=ボローニャDF)君や久保(建英=マジョルカMF)君らが、それに該当すると思いますが、本人たちは複雑な心境のはず。早く方針を決めてあげてほしいです。
僕らの頃は「五輪が海外挑戦の登竜門」という時代で、自分もアテネの直後にルマンへ移籍しましたけど、今は主力の大半が五輪前に欧州でプレーするようになりました。 東京五輪世代には、まだJリーグにいる選手は多い。「五輪をステップにしたい」と考えている人も多いでしょう。彼らにしてみれば、1年延期というのはやはりマイナス。しかもコロナの影響で欧州クラブも選手補強に消極的になる恐れもあります。今回のコロナ騒動はクラブの戦力補強や移籍、年俸などサッカー界のさまざまな概念を大きく変える可能性も否定できない。今後の動向を慎重に見守る必要があるでしょう。
■本質を見つめ直す時間に
僕自身も今は自宅待機生活を余儀なくされ、サッカーができない状況に陥っています。こんなことは39年間、生きてきて初めて。みんなが似たような感情を抱いているでしょうし、仕事が減ったり、生計を立てられずに苦しんでいる人も少なくないと思います。ただ、これを「人生の修行」と捉え、本質を見つめ直す時間にしたらどうか。