世界連盟に不祥事発覚…女子重量挙げ三宅宏実“ケガの功名”
古代五輪から実施される伝統競技に大スキャンダルである。
国際重量挙げ連盟(IWF)の独立調査委員会は4日、不正疑惑に関する報告書を公表。40件のドーピング違反隠蔽に加え、タマシュ・アヤン前会長(ハンガリー=4月に辞任)による横領と1040万ドル(約10億円)の使途不明金、役員改選時の買収などが明らかになった。報告書では同会長が長年にわたって恐怖政治を敷き、連盟を私物化してきたと結論付けた。
重量挙げでは禁止薬物違反により、過去10年間で約600人の選手が処罰された。依然としてドーピングが横行しており、IOC(国際オリンピック委員会)は東京五輪で実施予定だった男子の1階級を減らすなどの制裁を科した。
東京五輪でのドーピング撲滅を目指すIOCとWADAでは今後、重量挙げのトップ選手を標的にした抜き打ち検査を徹底するのは必至。WADAは、自宅や合宿所などで尿や血液を採取する競技外検査を行い、重量挙げを筆頭に薬漬けの選手を水際で食い止める方針を明かしている。
重量挙げ関係者によると、禁止薬物に手を出す選手が後を絶たないのは、筋肉増強剤などの効果が如実に現れるためだ。アジアや東欧の一部の国や地域では、五輪や世界選手権で優勝すれば、セカンドキャリアが保障されることもあり、リスクを承知で、ドーピング違反を犯す選手が少なくないのだという。
東京五輪では女子49キロ級の三宅宏実(34)の3大会連続表彰台がかかる。WADAによる監視が厳しくなればなるほど、大会までに海外勢のドーピング発覚が相次ぐ可能性もある。そうなると、三宅の金メダル獲得の追い風となるのだが……。