原監督は開幕3連勝で高笑い 巨人は今季もダメ虎サマサマ
「本当にいいスタートが切れた。一人一人がしっかりとした役割の中でやってくれた」
巨人・原辰徳監督(61)の笑いが止まらない。21日の阪神戦も11安打7得点で快勝。過去8度の阪神との開幕カード3連戦で史上初の3連勝というから無理もない。
巨人は初回に先制を許したものの、四回に4番・岡本の逆転2ラン、パーラの適時打などで一挙5点。先発のサンチェスは6回途中1失点で、危なげない来日初登板初勝利を挙げた。
目も当てられないのは、2000年以来、20年ぶりの開幕3連敗スタートとなり、「巨人には去年負け越してるし、優勝チームでもあるので」と悔しさをにじませた阪神・矢野燿大監督(51)である。
打線は近本の先頭打者本塁打以降、「納得できる内容ではない」と振り返ったサンチェスから凡打を重ねた。この日、4番から6番に降格した新外国人のボーアは、六回2死で迎えた満塁の好機で前日も抑えられた左腕・高木に二ゴロに抑えられるなど、この日も4タコ。開幕3試合は12打数無安打スタートとなった。
巨人OBの評論家・高橋善正氏は「巨人が強いのか阪神が弱いのか……。この3連戦、矢野監督のチグハグな采配が目立ちましたね」とこう続ける。
「開幕4番ボーアの不振がクローズアップされていますが、矢野監督が3試合目にして早くも打順を6番に下げたことに驚きました。開幕戦で4番に据えたということは、今年の攻撃陣はボーアを中心に戦うという意思表示。自身の方針をたった2試合の結果で覆してしまっては、ナインは戸惑うだろうし、ボーアだって死んでしまう。いかにも中途半端です。2戦目も2イニングを残したところでベンチに下げていましたね。負けている試合で4番を下げるなんて、勝負を諦めたか、助っ人に見切りをつけたか。少なくとも巨人側にはそう見えたはずです」
ボーアは対左投手に対し、春のキャンプ中の実戦から計21打数無安打となった。高橋氏が続ける。
「そもそも、そんな外国人になぜ開幕4番を任せたのかが問題です。他にも、矢野監督の継投のタイミングや人選がことごとくズレていた。この日先発したガルシアを4回5失点と試合が決まってからマウンドを降ろした。開幕戦は逆に好投の西を6回1失点で早々と降板させたのが裏目に出た。2戦目は6回3失点と粘っていた岩貞に代えて2番手で送り込んだのはルーキー小川。まだ勝機のある2点ビハインドの場面がデビュー戦では荷が重過ぎるでしょう。案の定、自滅して試合が決まってしまった。開幕カードでは史上初というが、昨年も2カード目で阪神は巨人に3連敗して開幕ダッシュを後押ししている。実際は2年連続になるわけで、矢野監督は資質を問われても仕方ありません」
息を吹き返した投打の助っ人
巨人はオープン戦、練習試合と状態は良くなかった。オープン戦は最下位に終わり、練習試合期間中には、坂本、大城の主力2人が新型コロナウイルスに感染して10日間の入院を余儀なくされた。退院したのは開幕1週間前の12日。坂本はほぼぶっつけでこのカードに臨み、打率・455と好調なスタートを切っている。それだけではない。
「特に厳しいとみられていた2人の外国人が、阪神に自信をつけさせてもらった格好です。オープン戦から一本も一発が出ず、直前の練習試合では安打すら出なくなっていたパーラは、思い詰めている感じがしたが、初戦の最終打席で内野安打が出て気が楽になったのでしょう。2戦目から安打が出るようになり、本塁打も2本打ちましたから上々のスタートです。練習試合で炎上続き(4失点、6失点)だったサンチェスも、完全に自信を失っていたが、阪神打線に助けられて初勝利。2人とも獲得時は主力の働きを求められた投打のキーマン。2人が揃って息を吹き返せたのは、巨人にとってはかなり大きい」(前出の高橋氏)
開幕前、矢野監督は「昨シーズンはだいぶ巨人にやられた。やり返したい」と腕まくり。一方の原監督は自然体だった。巨人は阪神に12年連続で負け越しなし。8年連続で勝ち越し中である。昨季も巨人が15勝10敗と一方的で、クライマックスシリーズ(CS)でも阪神をはね返している。
「通算14年目の指揮を執る原監督の眼中に、はっきり言って阪神はありません。それどころか、ずっと阪神にチームを押し上げてもらっている“お得意さま”という認識です。番記者に阪神のことを聞かれると、いつも薄ら笑いを浮かべながら答えるのがその証拠です。半面、5年連続で負け越し中の広島のことを聞かれると、途端に表情が険しくなりますから」(巨人のチーム関係者)
両監督は共に3年契約の2年目。矢野監督はともかく、こんな強力援軍を従える原監督、来季までは安泰である。
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