著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

日割額補償で合意 サラリーキャップ制阻止は選手会の成果

公開日: 更新日:

 大リーグの公式戦の開幕が7月23日に迫っている。3月に日程の変更が公表され、3月26日には5月下旬までの2カ月分の給与について、年俸を日割りした額を保証することで選手会側と大リーグ機構とが合意した。

 この時点では、残された問題は開幕日の設定という一点のみであり、新型コロナウイルス感染症の拡大の状況を見極められれば解決できると考えられていた。だが、その後、機構と経営者側が「無観客での公式戦の実施という状況は3月当時と条件が異なるから、年俸の削減方法を変えるべき」と主張すれば、「双方が合意したのだから、機構も経営者たちも協定を順守するのが当然」と選手会側も反発し、両者の溝は深まる一方だった。

 最終的に機構側による「レギュラーシーズンを60試合制で実施する」という提案を選手会が否決したことから、6月22日にロブ・マンフレッドがコミッショナーとしての権限に基づき「7月24日前後に開幕し、試合数は60」という枠組みでの公式戦の実施を決定した。

 一連の経緯を見れば、年俸の削減方法に関しては選手会側の「試合数に完全に比例させる」という主張、試合数は選手会による「70試合制」ではなく経営者側の「60試合制」が適用されており、両者の対立は痛み分けとなったように思われる。しかし、選手会にとっては、今回の交渉は最善ではないにしても次善の結果であった。なぜなら、「収入を折半する」という機構・経営者側の案を頓挫させたからだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  2. 2

    インドの高校生3人組が電気不要の冷蔵庫を発明! 世界的な環境賞受賞の快挙

  3. 3

    中森明菜が16年ぶりライブ復活! “昭和最高の歌姫”がSNSに飛び交う「別人説」を一蹴する日

  4. 4

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  5. 5

    永野芽郁“二股不倫”疑惑「母親」を理由に苦しい釈明…田中圭とベッタリ写真で清純派路線に限界

  1. 6

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 7

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 8

    雑念だらけだった初の甲子園 星稜・松井秀喜の弾丸ライナー弾にPLナインは絶句した

  4. 9

    「キリンビール晴れ風」1ケースを10人にプレゼント

  5. 10

    オリックス 勝てば勝つほど中嶋聡前監督の株上昇…主力が次々離脱しても首位独走