日割額補償で合意 サラリーキャップ制阻止は選手会の成果
「収入の折半」とは試合数の減少に伴う選手の年俸の削減額を巡る交渉の中で出された案であり、選手に支払う年俸の上限を「球団の収入の半分」とすることは、実質的な年俸総額制(サラリーキャップ制)に他ならない。
大リーグは米国4大プロスポーツの中で唯一サラリーキャップ制を導入していない。また、経営者にとっては制度の実現が悲願であり、選手会にとっては阻止以外の選択肢はない。
もちろん、「かつてない非常事態だから」と妥協することもあり得るだろう。だが、2021年に新しい労使協定の交渉が控えている現状では、たとえ臨時の措置であっても実質的なサラリーキャップ制を認めれば、経営者側が「2020年に適用したのだから」と年俸総額に上限を設けることを既成事実とすることは明らかである。その意味で、経営者たちの非常時にかこつけたサラリーキャップ制の導入を防いだことは、選手会にとって大きな成果だ。
そして、経営陣にとっては、今回の雪辱を果たすべく、来年の労使交渉でサラリーキャップ制の実現を期すことになる。両者の視線は、すでに2021年に向けられているのである。