大谷は投球再開まで4~6週間…コロナが右腕をぶっ壊した
ぶっつけ本番のツケが
大谷は7月上旬のキャンプ再開後、実戦に登板したのはチームメート相手に投げた紅白戦の3試合のみ。ローテの関係から3試合組まれていたオープン戦には投げられなかった。
TJ手術明けの投手は通常、傘下のマイナーのレギュラーシーズンに3~4試合登板してからメジャー復帰を果たすケースが少なくないものの、大谷は対外試合をこなせずにぶっつけ本番を強いられた。味方相手の紅白戦に投げただけで、いきなり開幕に臨んだことで手術明けの右腕には大きな負担がかかった。つまり、コロナ禍で狂ったスケジュールが大谷の右腕を痛めたのだ。
「TJ手術から復帰した投手が口を揃えるのは、直球は問題なくても、変化球を投げる際、手術前とは感覚が異なるそうです。これは移植した靱帯が完全に馴染んでいないためです。感覚が違うため、変化球の投げ方を工夫した揚げ句、肘以外の箇所に異常を来すことも考えられます」(深沢氏)
TJ手術を経験した投手が、後に靱帯断裂、損傷を再発するのは珍しいことではない。復帰した年に再び、痛める投手もおり、ナショナルズの救援右腕ダニエル・ハドソン(33)は、先発を務めていたダイヤモンドバックス時代の12年に初めてTJ手術を受けた。翌年に実戦復帰したマイナーの試合で再発し、2度目のメスを入れるはめに。当時のハドソンによれば、1イニング目に152キロだった球速は、2イニング目には139キロまで落ちたそうで「実戦マウンドでの力みから患部に負担が生じた」と振り返っている。大谷の症状にそっくりなだけになおさら心配だ。
TJ手術はただでさえ危険が伴うのに、コロナ禍による調整不足が重なってダメージは膨らんだのだ。