追憶のマラドーナ 前代未聞だった凄まじい“ブーイング”
そのスキラッチのゴールで先制(前半17分)したまでは、イタリアの狙い通りの展開だった。
■マラドーナの鬼気迫るプレーでアルゼンチンは反撃
しかし、アルゼンチンはマラドーナが鬼気迫るプレーでチームを鼓舞し、て反撃に転じると、カニーヒアのゴール(後半67分)で今大会、初めてイタリアの堅牢なゴールを破ることに成功した。
試合は1-1のままPK戦に突入した。するとアルゼンチンのGKゴイコチェアが、2本のシュートをストップする大活躍で開催国の望みを断ち切った(アルゼンチンの4ー3)。ナポリの王様の勝利を喜ぶべきなのか、それとも母国の敗退を悲しむべきなのか……。
何とも言えない沈黙がスタジアムを支配した。
アルゼンチンは2大会連続の決勝戦進出を決めたが、得点源のカニーヒアら主力4人が、西ドイツとの決勝戦に出場できなくなった。どこかフレンドリーな気配が漂っていたイタリアvsイングランドの3位決定戦と比べるまでもなく、7月8日の決勝戦は、殺伐という言葉がぴったりの雰囲気に支配されていた。