追憶のマラドーナ 前代未聞だった凄まじい“ブーイング”
イングランドを1-1からPK戦で下した西ドイツにはマテウス、クリンスマンらベストメンバーが揃っていた。対するアルゼンチンは試合前はもちろん、試合中もマラドーナがボールを持つたびに大ブーイングが吹き荒れた。4年前のメキシコW杯とと同じカードなのにマラドーナを取り巻く環境は一変していた。
それにしても! これほどまでに凄まじいブーイングを試合前、試合中、そして試合後に聞いたW杯は、後にも先にもこの1試合しかない。
救いがあるとするならばーー。涙にくれるマラドーナを西ドイツの選手たちが、拍手で送り出してくれたことだろう。
■1991年、薬物使用などで出場停止処分
翌1991年、マラドーナは薬物使用などでイタリアサッカー連盟から15カ月間の出場停止処分を受け、2度とナポリのスカイブルーのユニホームを着ることはなかった。 その後も、多くのスキャンダルを引き起こして非難を浴びたが、それでもナポリの市民はマラドーナを慕い、忘れられないでいることが、2021年2月公開の映画「ディエゴ・マラドーナ 二つの顔」でも紹介されている。