ウッズ生存奇跡の交通事故 夢の東京五輪「金」は完全消滅

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 衝撃の写真だった。

 ゴルフタイガー・ウッズ(45)が現地2月23日朝、米カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で自身が運転する車が道路を外れて横転し、ボンネット部分が大破する大事故を起こした。

「驚きました」と、1997年マスターズから10度以上もウッズのメジャーVを現地で見てきたゴルフライターの吉川英三郎氏がこう言う。

■右脚複雑骨折

「米CNNによれば、運転していたのはヒュンダイ社製のジェネシスGV80。中央分離帯を乗り越え、反対車線も越えて樹木に衝突。そのまま数回横転した。通報で駆け付けた地元警官によれば、ウッズは質問には答えることができ、閉じ込められた車を斧でこじ開けて脱出させた。シートベルトとエアバッグのおかげで命は救われたという。ウッズの公式ツイッターでは、右脚の状態がひどく、脛骨、腓骨は複雑骨折。手術で腓骨は金属で安定させている。つま先と足首もピンなどで留めているそうですが、これほどのケガではツアー復帰の時期はまったく予想がつきません。常に結果を求められる重圧の中、ファンの期待に応えてきたのがウッズです。今回の事故原因はわかりませんが、ゴルフ場を離れれば、ファンの知らない顔があるのも事実です。スピードの出しすぎによる事故とすれば軽率と言わざるを得ません」

あの感動をもう一度

 今回の事故において現地の警察当局はその後、飲酒などの違反は確認されず、ウッズが刑事責任を問われることは想定していないといった認識を明らかにしているが、ウッズは2009年にも交通事故を起こし、不倫発覚や度重なる故障などで本来のプレーができず、08年の全米オープン優勝を最後にメジャーVから遠ざかった。17年5月には、米フロリダ州ジュピターの自宅付近の路肩に車を止めて眠っていたところを警察に発見され、飲酒か薬物使用の疑いで逮捕されたこともあった。まるで薬物中毒の犯罪者のような写真に世界中のゴルフファンは「ウッズは終わった……」と思ったはずだ。

 ところが、18年からツアーに本格復帰を果たすと、19年マスターズでの奇跡の復活Vに世界は仰天。J・ニクラス(81)の持つメジャー最多勝利記録(18勝)まで3勝となり、同年10月に日本国内で行われた「ZOZOチャンピオンシップ」では松山英樹(29)と優勝争いを演じ、S・スニードの歴代最多勝利数に並ぶ米ツアー82勝目を挙げた。この大会は荒天で最終日が月曜日に延期されたが、前週火曜日の練習ラウンドから延べ約5万5000人が会場(千葉・習志野CC)を訪れ、ファンはウッズのプレーに酔った。

 1年延期になった東京五輪のゴルフ会場は、霞ケ関CC(埼玉・川越)。都市から近いこともあり、「あの感動をもう一度」とばかりに、ウッズと松山の対決を楽しみにしているファンが会場を埋め尽くしたかもしれない。

「その夢は消えてしまいましたね」と、前出の吉川氏が言う。

「ウッズは大好きな日本で行われる東京五輪への出場意欲は誰よりも強かった。五輪に出られるために残されている時間は多くはない。だから金メダルを取りたいと語っていた。昨年12月に腰部椎間板の手術を受け復帰を目指していた。世界ランキングは50位でも、マスターズなどのビッグトーナメントの成績や世界ランク1位のD・ジョンソンが示唆しているように、五輪出場(1カ国最多4人)の辞退者が続出すれば『もしかしたら……』と奇跡を信じているファンも多かったのではないか。現実を見れば、ウッズが東京五輪でプレーすることは厳しかったと思いますが、選手生命が危ういとさえいわれている今回の大事故により、その可能性は完全になくなりました」

■辞退者続出も

 そうでなくても、D・ジョンソンやB・ケプカら世界のトッププロが東京五輪出場に後ろ向きの発言をしている。

 ゴルフは16年のリオ五輪で112年ぶりに実施競技に復活したにもかかわらず、日程の問題や現地のジカ熱や水質汚染などの影響もあって、J・デイ、D・ジョンソン、J・スピース、R・マキロイといった当時世界ランキングトップ4が出場辞退。松山も代表入りしなかった。

 コロナ禍の中で行われるとすれば、今夏の東京五輪でも同じことが起こる可能性が大だ。ただでさえ五輪は問題だらけ、そのうえ注目度の高いゴルフはウッズはいないわ、スター選手の参加も不透明とあっては、ドッチラケもいいところである。

 東京五輪組織委員会が昨年12月に発表した五輪観戦チケットの払い戻しは445万枚中約81万枚。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催可否の判断は3月ともいわれている。開催が決まっても、次の払い戻しがあれば、ゴルフのチケットを手放す人は続出するのではないか。

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