米中対立激化はスポーツ界に影響 対岸の火事では済まない
このときは、中国国営中央テレビ(CCTV)がNBAの試合の中継を打ち切り、事実上の報復を行っている。
中国においてバスケットボールは若年層を中心に高い人気を得ており、熱烈な支持層は約1億5000万人いると推定されている。そして、CCTVの中継の中止や中国の協賛企業の撤退などにより、NBAコミッショナーのアダム・シルバーは19年から20年にかけて最大で4億ドルの損失が生じる可能性を指摘していた。
国民が支持するNBAの試合の中継を打ち切ることは中国側にとって不利益と思われるものの、むしろ「国民が支持するNBAに制裁を加えるほど当局は本気だ」と強硬な姿勢を示すには格好の措置だった。
結果としてNBAが20年2月に新型コロナウイルス感染症が拡大した中国に100万ドル以上の医薬品を送ったことを評価するという理由から、CCTVは同年10月に中継再開の意向を示した。
相手の態度によって関係を変化させる中国側の戦略により、今やNBAのリーグ機構や経営陣の間で表立った対中批判の声は聞かれない。