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鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

米中対立激化はスポーツ界に影響 対岸の火事では済まない

公開日: 更新日:

 このときは、中国国営中央テレビ(CCTV)がNBAの試合の中継を打ち切り、事実上の報復を行っている。

 中国においてバスケットボールは若年層を中心に高い人気を得ており、熱烈な支持層は約1億5000万人いると推定されている。そして、CCTVの中継の中止や中国の協賛企業の撤退などにより、NBAコミッショナーのアダム・シルバーは19年から20年にかけて最大で4億ドルの損失が生じる可能性を指摘していた。

 国民が支持するNBAの試合の中継を打ち切ることは中国側にとって不利益と思われるものの、むしろ「国民が支持するNBAに制裁を加えるほど当局は本気だ」と強硬な姿勢を示すには格好の措置だった。

 結果としてNBAが20年2月に新型コロナウイルス感染症が拡大した中国に100万ドル以上の医薬品を送ったことを評価するという理由から、CCTVは同年10月に中継再開の意向を示した。

 相手の態度によって関係を変化させる中国側の戦略により、今やNBAのリーグ機構や経営陣の間で表立った対中批判の声は聞かれない。

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