1984年ロス五輪はエポックメーキングな大会だった
第1回の1964年東京五輪でもハンガリーが金メダルを獲得(準優勝はチェコスロバキア)。そのハンガリーに続いて計5個のメダルを獲得しているのがソ連(現ロシア)で金メダル2個、銅メダル3個を獲得している。
第二次世界大戦後はハンガリー、ソ連、ユーゴスラビア、東ドイツ、ポーランドといった旧共産圏の国々が、五輪で圧倒的な強さを見せ付けながらメダルを独占した。というのも旧共産圏の国々には、建前上<プロ選手>が存在しなかったからだった。
当時「ステート・アマ」という言葉があった。社会主義国家の選手たちは、プロとして報酬を得ているわけではないが、国家から報酬を含めて手厚く身分が保証され、サッカーに専念できる環境にいた。<プロ的な>生活を送りながらも、あくまで立ち位置は<アマチュア>の範疇だったのである。
ステート・アマの選手たちは、所属クラブで欧州チャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)に出場して他クラブのトップ選手としのぎを削り。代表チームの一員としてはユーロ(欧州選手権)に出場し、母国の誇りを胸に抱いてファイトする。