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高野孟ジャーナリスト

1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。

大手主要各紙は「メダル最多」と大ハシャギだが…能天気に喜んではいられない

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 五輪閉会式翌朝の主要各紙の多くは1面で「メダル最多58個」を見出しに立て、日経は2面で同様にした。その中で東京新聞だけはそれを特に押し出さず、スポーツ面の総括記事の中で、金メダルの目標30個に対し27個を得たことを尾県貢総監督が「限りなく目標に近い結果を残すことができた」と語ったことを伝えていた。いちばんハシャいでいたのは読売で、社会面の見開き2ページを使って「燃えた東京、58個の輝き」の大見出しとともに日本人メダリスト全員の写真を掲げた。

 58個は選手たちの健闘ぶりを示すもので、称賛されてしかるべきであるとは思うが、そもそも国を単位としてメダルの数を競い合うのはどうなのかという前々から言われてきた一般論は別にしても、今回の場合は、とりわけメダルの数を言い立てるようなことは控えるべきではなかったか。

 というのも、全世界的なパンデミックが収まらない中で、日本もまた国内の感染拡大を抑えることに失敗し、これまで最悪の危機的な状況で五輪を開かなければならなかったわけで、そのため来日を断念した選手や、来日してから陽性反応が出て試合に出られなかった選手やコーチなど関係者は100人を超えたとされている。また、1カ月も前から日本各地で事前合宿を組んで調整を図るはずだった多くの選手・チームも、それを断念しなければならなかった。その間、日本の選手・チームは自国ゆえの優位さで条件を整えて練習を重ねることができたわけで、果たしてこれで公平な条件の下での競い合いと言えるのかという疑念が生じる。

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