ボクシング女子フライ級「銅」並木月海<3>幼なじみの天才キックボクサー名須川天心に瞬殺された過去
並木月海(23歳、ボクシング女子フライ級、銅メダル/自衛隊体育学校)
千葉の実家から往復5時間かけて通った花咲徳栄時代は27戦全勝で3年間無敗。しかし、卒業後に進んだ自衛隊体育学校では全日本選手権で2年連続準決勝敗退。壁にぶち当たった社会人2年目、矢田圭一コーチの就任でボクシングに対する意識が変わった。
「体重調整や練習メニューをしっかりコーチと話し合って決めるようになったのも社会人2年目から。1年目はレールに乗って言われるがままだったんですけど、コーチが代わったのをきっかけに、自らのボクシングに対する向き合い方や取り組み方も変わってきました」
身長153センチと小柄。リーチの長さは不利に働く。そこで磨いてきたのはステップワークだった。
「五輪種目のボクシングは特にリーチが長い選手が有利。だから今回は自分の得意な展開に持っていくことが鍵かなと思っていた。目は良い方なので、パンチを避けつつステップワークで翻弄して自分のパンチをしっかり当てるというのが磨いてきたところかなと思います。そのためには、『神経系』といわれるトレーニングを強化しました。(縄はしごを使った)ラダーもそうですが、足を細かく使いつつ、頭は冷静にしっかりした位置に持っていく練習。コーチやトレーナーと話し合いながら、週3くらいのペースでやっていました」
那須川天心の「有言実行ぶりは見習いたい」
キックボクサーの那須川天心(23)とは幼なじみ。4歳で空手を始め、初めての試合だった千葉県の地域大会で決勝まで進むも、そこで那須川に“瞬殺”された。競技生活を続けるうえで見習う点も多いという。
「練習に対しての取り組み方もそうですが、勝つことにしっかりこだわってそれを確実に実行できているのがすごいところ。今は注目されてプレッシャーもあるだろうに、それをはねのけてきちんと勝利を掴む。有言実行できているところは見習いたいですね」
パリは3年後。金メダルを目指すのか。
「銅メダルだったということで、取材などでは『次は世界一を掴みたい』とは言いました。でも、『パリを目指す』とは言ってないんです。自分の中ではそこまでオリンピックに固執していなくて、世界選手権での世界一というのを考えているので、そこを目標にやっていけたらいいかなと思っています」
今月6日から練習を再開したが、それまでは貴重なオフを過ごした。
「休んでいる期間がすごく幸せ。実家で4匹の犬たちと戯れているときが何より幸せですね。みんなお散歩が嫌いなので、あまり外に出ません。コロナ禍の自粛モードです(笑い)。(愛犬は)小学2年生の頃からどんどん増えていって、今はもう14歳くらいかな? おじいちゃんおばあちゃんなので、ゆっくりさせています。練習が始まったら徐々にこれからのことを考えていきたい」 (おわり)