オズ日本W杯決勝のリベンジならず、ロシアの返り討ちに…ドバイ国際大会初戦の敗因を探る
UAEのドバイで11月2日に開幕したビーチサッカーの国際大会「インターコンチネンタル ビーチサッカーカップ2021」で、日本代表がロシアに4連敗を喫してしまった。
2日午後11時45分にキックオフされた初戦の相手ロシアは、8月の自国開催W杯で優勝した強豪だ。現在、世界ランキング堂々の1位である。対する日本代表は、ロシアW杯の決勝でホスト国に敗れたとはいえ、歴代最高位となる銀メダルを獲得して凱旋帰国。
今大会グループステージ屈指の好カードは、選手兼監督の茂怜羅オズ率いる日本代表にとってリベンジのチャンスでもあった。
2019年パラグアイW杯の3位決定戦、ロシアW杯のグループリーグ、そして決勝とロシアに3連敗を喫しており、世界ランク4位で優勝候補の一角を占める日本としては、いくら相手が世界頂点国とはいえ、屈辱の同一カード4連敗は絶対に阻止しないといけない。
しかし結論から言うと、不用意なミスなどが重なって返り討ちに遭ってしまった。
ビーチサッカーの試合は「12分×3ピリオド制」。
第1ピリオド(P)が始まって1分40秒の失点は、いささかショッキングだった。
ロシアの右サイドからのFK。相手エース・ニコノロフの胸辺りにボールが入った。右足を上げながらシュート態勢に入り、密着マークのオズも同じように右足を前に伸ばした。「身長190センチ・体重90キロの偉丈夫オズが必ずカットしてくれる」という期待は外れた。ニコノロフのシュートが日本ゴールに突き刺さり、一番調子づかせてはいけない選手に先制点を奪われてしまった。
日本は0-2で迎えた3分22秒にFP奥山正憲(35)がPKを確実に決めて1点を返すも、1-3というスコアでハーフタイム。
2Pは、ロシアを1得点に抑えた日本が一大攻勢をかけた。開始3分31秒、FP山内悠誠(36)が躍動した。GK河合雄介(33)が左手で右サイドにロングスロー。走り込んだ山内は、ワンバウンドしたボールの軌道にミートポイントを上手く合わせ、左足を振り抜いてゴール右に蹴り込んだ。実にテクニカルなシュートだった。
9分36秒、左サイドからのスローインを胸でトラップした奥山は、戻りながらのリフティングで相手マーカーとの距離を取り、さらにGKの死角になるようなポイントでオーバーヘッドをさく裂させた。176センチとピヴォ(FW)の中では上背のない奥山が、どうやればシュートブロックをかいくぐって強烈なシュートを打てるか、日頃から磨きをかけている得意のパターンで追加点ゲットである。
押せ押せの日本は10分56秒、山内がPKを確実に決め、2Pだけで3得点の日本が4-4の同点に追い付いた。
続く3Pは、ついに大黒柱のオズが底力を見せ付けた。開始1分38秒。ピッチ中央からのFKを豪快にズドン! 勝ち越しゴールを叩き込んだのである。
もちろんロシアも死にもの狂いで立ち向かってくる。7分56秒、好調ニコノロフのゴールで同点に追い付かれ、9分35秒にはベテランのノビコフにドリブルシュートを決められてしまい、5-6とリードを許してしまった。
しかし、その約20秒後に再びオズの出番が訪れた。
9分57秒、オズが自陣右サイドから渾身の力を込めて強烈ミドルFKを蹴り込むと、ボールはGKが伸ばした両手を弾き飛ばすようにしてゴールネットに突き刺さったのである。
6-6の同点で3Pが終了し、試合は延長戦に突入した。
ここでGK河合が、この試合2回目の判断ミスを犯してしまった。味方からのパスをキャッチしようとして伸ばした両手の<先>でロシア選手にボールを奪われ、がら空きとなったゴールに決勝点を押し込まれてしまったのだ。
GK河合は2Pの4失点目の場面でも、同じようなパターンで失点した。ロシアGKのロングスローに反応。飛び出してカットしようとしたが、もう一歩踏み込みが足りずに相手選手に先にボールに触られ、痛恨の失点を食らっている。ロシアW杯の正GKとして準優勝の立役者の一人となり、この日のロシア戦でも至近距離からのシュートを立て続けにセーブするなど好パーフォーマンスを見せていただけに残念な2失点となった。
それに加えて敗戦の要因に挙げられるのは、やはりロシアの最大の得点源に先制点を奪われたことだろう。勢いに乗ったニコノロフは、終わってみれば4ゴールの荒稼ぎ。日本は格好のリベンジのチャンスをフイにしてしまった。
日本の2戦目(4日午前1時キックオフ)の相手は、初戦でパラグアイを8-6で退けて意気上がるイラン。オズ日本は気持ちをスパッと切り替え、同じアジアの強豪を叩きのめして上昇機運に乗りたい。