石川遼「隔離破り」スッパ抜かれ役職辞任…軽率行動の根っこにゴルフ界の“悪しき特別扱い”

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 ゴルフ界に衝撃が走った。

 石川遼(30)が米国から帰国後14日間の自主隔離期間中にゴルフ場で練習し、その後、複数人で飲食していたと写真誌「フラッシュ」が報じた波紋のことだ。

 石川本人は9日、今週の三井住友VISA太平洋マスターズへの出場を辞退し、日本ゴルフツアー機構(JGTO)とジャパンゴルフツアー選手会の副会長と理事を辞任する意向を発表。JGTOと選手会は、本人に事実確認、それぞれ辞任の書面を受け取ったことと、今後最終的な処遇を決定する予定であることを文書でコメントした。

■副会長に担ぎ出されて…

 石川は一介の選手ではなく、前記の肩書を持つ、国内ゴルフ団体の幹部である。自覚が足りない行動は責められてしかるべきだが、評論家の宮崎紘一氏は「今回の一件は石川だけを悪者にするのは筋が違う」と言う。

「石川は高校1年の5月、史上最年少でツアー優勝を遂げると、マスコミやゴルフ界は、世間知らずの石川を散々持ち上げ、商売に利用してきた。まるでゴルフ界の宝のように扱い、常識外れやマナーに反する行動をしても苦言を呈する者はいなかったわけですから」

 石川は15歳で優勝し、インタビューではにかむ姿から「ハニカミ王子」と呼ばれ、老若男女の心をつかんだ。

■迷彩柄のカーゴパンツで苦情の嵐

 一方、優勝から3カ月後には迷彩柄のカーゴパンツでツアーに出場し、JGTOには「ゴルフにふさわしくないパンツだ」などと多くの苦情が寄せられる「事件」を起こしている。頭を抱えたJGTOは同12月、迷彩柄のパンツと太ももの横に大きなポケットがついたカーゴパンツのツアーでの着用禁止を決めた。

 翌年1月にはプロ転向宣言直後に行われた日本スポーツ賞の表彰式にジャージー姿で現れてトロフィーを受け取り、出席者を唖然とさせたこともあった。

「中学生だって制服で卒業証書をもらいます。アマチュアがプロの試合に出場させてもらうのだから、ふさわしい格好がある。普通の高校生ならわかることです。中学時代からゴルフがうまい少年が、高校1年でプロツアーで優勝し、多くのスポンサーと契約し、莫大な契約金を手にする。利用価値がある人気プロに対し周囲は厳しいことは言わない。勘違いするのは当然です。辞任したJGTOの副会長職も、尾崎将司が全盛だった80~90年代に比べて試合数は激減。『遼君が頭を下げればスポンサーも協力してくれるはず』との思惑から担ぎ出された。それでも副会長になったわけですから、立場を自覚すれば、後ろで束ねる今の髪形はない。誰も何も言わないのです」(宮崎氏)

2009年には「特別招待」でマスターズ出場

 人気があり、カネになる石川の「特別扱い」はプロ入り当初から今も続いている。

 プロ転向2年目の2009年、世界のゴルファーが憧れるマスターズに、日本人史上最年少の17歳で出場した。

「先週アジア・パシフィック・アマチュア選手権を勝った中島啓太(21)は来年、マスターズと全英、全米オープンに出られる。11年に初めてマスターズに出た松山英樹(29)も、19年にオーガスタの芝を踏んだ金谷拓実(23)もそうです。前年のアジアアマに勝っての出場だったが、09年の石川は前年末の世界ランクで50位までに入れず(60位)特別招待だった。テレビ視聴率のために関係者が裏で動いたと、もっぱらだった」(ツアー関係者)

 石川はコロナ禍で開催された今年6月の全米オープンから帰国した際も、本来なら隔離期間で出られない日本プロゴルフ選手権(7月1日開幕)に出場した。

「石川は五輪代表の補欠3番手で、五輪強化指定選手に認定されていたということで、プロゴルフ協会、JGTOなどが関係省庁と例外規定に関する交渉を行い、大会に出られた。人気のある石川でなければJGTOなどが、あそこまで動いてくれたかわからないという声も一部にはあった。今回の軽率行動は、日本プロの特例という前例があったことと無関係ではないでしょう」(前出の関係者)

 JGTOは近日中に、臨時理事会で今回の行動を検証し、最終的な処遇を決めるそうだが、前出の宮崎氏はこう言う。

■石川に厳しい処分を下せるか

「JGTOの青木会長は、19年のツアー開催申し込みを済ませていた『ISPSハンダマッチプレー選手権』の記者発表会を欠席。全米オープンのリポーターの仕事のために渡米していたことを知った主催者は激怒し、同大会の他に、新規大会(ISPSハンダ東京オープン)と下部ツアー(ISPSハンダチャレンジカップ)の計3試合の開催を取りやめてしまった経緯がある。ツアーに多大な損害を与えた過去のある会長が、果たして石川に厳しい処分を下せるかどうか」

 こんな会長と副会長では、低迷する国内男子ツアーに未来はない。

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