星野仙一さんが阪神を「特殊な球団」と言った意味 二軍選手までチヤホヤされる
オリックスのコーチを辞した2003年、阪神の岡田彰布監督から「二軍の打撃コーチをやってくれませんか?」と打診があった。縁もゆかりもない阪神に私のことを推薦してくれたのは、18年ぶりにリーグ優勝に導きながら体調の不安を理由に勇退したばかりの星野仙一前監督だった。こういうところが星野さんの周りに人が集まるゆえんだと思った。星野さんにお礼を言うと、こういう返答だった。
「おう、ただし阪神はだいぶ特殊な球団やから、せいぜい頑張れや」
特殊……? その時は意味が分からなかった。私は地元の兵庫出身。タテジマのユニホームは憧れだっただけに、うれしかった。
オリックスのコーチ時代、ある主力選手が嘆いていたことがある。オフのサイン会のギャラが安かったため、選手会が「もうちょっと上げてもらえませんか?」とイベント会社と交渉をすると、驚きの返答だったというのだ。
「もう結構です。だったら阪神の若い二軍選手を呼びますわ」
そのほうが客を呼べるというのだが、オリックスの選手にとってこれはショックである。今ではだいぶなくなっているかもしれないが、同じ関西の球団でも、そんな格差があった。