矢野阪神また一大事!当日券売れず“最後の砦”ファン離れの深刻度、勝つ気がないフロントにも疑念
なんとか勝ったが……。
阪神は1日の西武戦に5-4で勝利、接戦を制した。期待の高卒3年目・西純が6回途中3失点で今季3勝目。打っては初回に甲子園では26イニングぶりの得点を挙げて先制し、大山が9号3ランを放った。矢野監督も「押されっぱなし(の試合展開)で投手がよく粘ってくれた」と話したが、なかなか波に乗れないのが今季の阪神だ。
矢野監督が今季限りでの退任を表明してシーズンに臨むも、プロ野球史上最悪の開幕17戦1勝と大コケ。5月は投手陣が奮闘し、月間チーム防御率は驚異の1.79をマークしながら、月間チーム打率.216、63得点はリーグワーストの貧打が響いて11勝13敗と負け越した。すでに13度のゼロ封負けを喫するなど、5月31日には2000年以降では最速となる54試合目で自力優勝が消滅した。
その試合後、矢野監督は意気消沈して記者会見を1分ほどで打ち切れば、百北球団社長も報道陣に「まず、ファンの方に非常にご心配をおかけして申し訳ないというふうに思います。ただ、今日で残り90ゲームを切ったところ。十分に試合数は残っていますので、我々チームとしましては決して諦めることなく、前向きに戦っていきますので、引き続きご声援お願いしたいと思っております」との謝罪コメントを発表した。
■「岡田、来年は頼むぞ!」
5月31日のサンスポの報道によれば、甲子園のスタンドからは「エエ加減、点取ったれよ!」「金を返せ!」と怒号が飛び、テレビ解説を務めたOBで元監督の岡田彰布氏(64)が球場から引き揚げようとした際、近くにいたファンから「岡田、来年は頼むぞ!」との声が上がったという。
そんな中、阪神にとって看過できない問題が浮上した。ここにきて客離れが起き始めているのだ。
この日は3万746人で、水曜日の主催としては今季最少。前日の5月31日の西武戦も3万86人で火曜開催では最も少なかった。先週の同26日の楽天戦に至っては、今季最低の2万6255人にとどまった。
そもそも阪神は熱心なファンが多いことに加え、チームは昨季、開幕から快進撃を続け、シーズン終了までヤクルトと優勝争いを繰り広げた。結果的に2位に終わったが、今季こそはという期待感もあり、今年の年間予約席(シーズンシート)の売り上げは絶好調だったという。
観客数には年間予約席分も含まれているだけに、最近は浮動客が購入する当日券が売れていないことになる。
勝つ気がないフロント、元メジャー守護神はロッテ入りへ
「ここのところ、打順を変えることが仕事だと思っているとしか思えない矢野監督の無策はもちろん、フロントのサポートも乏しい。親会社は矢野監督の今季終了までの続投を宣言しただけでなく、球団も助っ人補強に動く気配がない。本当に勝つ気があるのか、疑いの目を向けるファンは少なくありません」
と、阪神OBがこう続ける。
「今季は抑えのスアレスが米球界へ移籍。抑え不在の中、メジャーで19年にセーブ王(38セーブ)に輝いた元アストロズの右腕・オスナ(27)の日本球界入りが浮上した。待望の守護神取りを期待したファンもいたはずですが、ロッテ入りが濃厚に。阪神ファンは勝っても負けても応援する人が多いとはいえ、低迷時は少なからず観客は減っている。勝てない監督、勝つ気がないフロントでは今後、ファン離れが加速してもおかしくありません」
■「客が入れば良し」だったけど…
観客動員数は、低迷する阪神にとって唯一の“よりどころ”だった。今季は開幕から観客動員の制限を解除。1日現在主催試合の1試合平均の観客数は3万5532人で12球団トップに立っている。
コロナ前の数字には及ばないものの、最下位に低迷しているにもかかわらず、5月のGW中は連日大入りを記録するなど、多くのファンが甲子園に足を運んでいた。
5月に発表された阪急阪神ホールディングスの22年3月期決算によると、阪神球団などのエンタテインメント事業の営業利益は前期比約115億円増。今年は更なる収益アップが見込まれている。
阪神という球団は昔から、チームが勝てなくても、観客が入れば、儲かれば良しとする風潮があるが、客が入らないとなれば一大事。営業サイドも黙っちゃいないだろう。今月15日には阪急阪神ホールディングスの株主総会も控える。この日、自力優勝の可能性が復活したものの“矢野不支持”が観客動員にも表れれば、さすがに親会社や球団はシーズン中にも重い腰を上げざるを得ないのではないか。