大谷翔平はサイ・ヤング賞狙い! “ヒリヒリする9月”絶望的も13K無失点6勝目で照準ピタリ
驚異的な90個の奪三振
CS放送の大リーグ中継で解説を務める評論家の堀井恒雄氏がこう言った。
「昨季と比べて今季の大谷は安定感が格段に増しています。右肘手術から本格的に復帰した昨季は直球、変化球の制球を乱したり、抜け球や逆球も少なくありませんでした。今季はその不安から完全に解放されたのでしょう。特にここ数試合は力んで抜け球になることはあっても、制球難で崩れなくなった。マウンド上で修正する術も身に付けたようで、自分の調子と相手打線を考慮して、有効な球種を見極めて勝負できるようになった。好不調の波が少ないため、結果が伴っているのでしょう」
チームは開幕ダッシュに成功しながら、5月下旬には投打の歯車がかみ合わず、14連敗を喫した。リリーフ陣の不調もあって2014年以来8年ぶりのポストシーズン進出は厳しい状況だ。大谷のモチベーションのひとつであるポストシーズン進出争いが熾烈になる「ヒリヒリする9月」は過ごせそうにない。そうなれば大谷は個人成績、タイトル獲得に照準を絞るしかなくなる。
今季の大谷は本塁打数(15本)こそ、ヤンキース・ジャッジ(27本)、アストロズ・アルバレス(21本)らに後れを取っているものの、投手としての勝ち星はリーグ9位タイ(トップはアストロズ・バーランダーらの8勝)、防御率は10位に相当。ここまで68回3分の1と規定投球回数に達していないことを考えれば90個の奪三振数は驚異的だ。レイズ・マクラナハン(113個)、ホワイトソックス・シース(108個)らに続いてリーグ5位相当。9イニング当たりの奪三振率11.85はシース(13.14)、マクラナハン(12.06)に次いでリーグ3位相当だ(23日現在)。
大谷は投手としても孤軍奮闘を続け、連敗ストッパーとしてチームへの貢献度は大だ。サイ・ヤング賞の受賞基準として重視される奪三振率も高いため、順調に登板を重ねれば、投手としての最高の栄誉を手にする可能性もある。
「今季の状態から見て、後半戦に調子を落とすようなことは考えにくい。故障さえなければ13~14勝はできると思う。サイ・ヤング賞は記者投票なので分かりませんけれど、それに値する成績は残せると思いますね」(前出の堀井氏)
今オフは投手として表彰シーズンの主役になるかもしれない。