王手をかけた98年日本シリーズ第6戦 マウンドに向かう途中で「10.19」リリーフがよぎった
「抑えろよ!」
「なんとか頼む!」
割れんばかりの声援の中、私は一塁側のブルペンからリリーフカーに乗ってマウンドへ向かった--。
本拠地横浜スタジアムのスタンドは、チームカラーの青一色。当時はウエーブがあった。通常は相手のファンと半々だから、半分まで行ったら戻ってくる感じだけど、球場をウエーブが一周したほど。スタンドのほとんどは横浜ファンで埋め尽くされ、西武ファンは球場の一角だった。
1998年10月26日の日本シリーズ第6戦。シリーズは横浜の2連勝でスタートし、その後、2連敗。第5戦で打線が20安打17得点と爆発、3勝2敗と王手をかけて始まった第6戦は終盤まで緊迫した。
両チーム無得点で迎えた八回、横浜が1死二塁のピンチを迎えた場面で、私は先発の川村丈夫をリリーフすることになった。
迎える西武の打者は3番・高木大成に、4番・鈴木健。ヒットを打たれれば先制を許す。そのまま押し切られれば3勝3敗のタイに持ち込まれてしまう。いわばシリーズの行方を左右する重要な局面だ。