大谷翔平「あと4試合に投げたい」本当の理由 「人がやっていないこと」への強靱な意志
「人と同じじゃいけない」
大谷の父親の徹さんは以前、こう言ったことがある。
「子供たちには自分の進路は自分で決めなさいとずっと言ってきました。ボク自身、人と同じことをしちゃいけないというのがあって、人と同じことをしても、人と同じようにしかならないとも思ってきましたから」
この「人と同じことをしちゃいけない」「人がやってないことをやりたい」という姿勢こそ、大谷が受け継いでいる哲学だ。岩手の花巻東高から直接、メジャーに挑戦しようと本気で考えたのも、プロ入りと同時に当然のように二刀流に挑戦したのも、日本以上にレベルが高くて分業化の進んだメジャーで二刀流にチャレンジしたのも、みな、この思考の延長線上にある。
受賞すれば初となるサイ・ヤング賞や2年連続のMVPは、あくまでも記者投票の結果であって、自分がコントロールできるものではない。だからこそ自分自身ができること、つまりメジャーでだれもやったことのない規定打席と規定投球回のクリアに向けて最後までチャレンジしたい。そんな強靱な意志があるからこそ、大谷は「あと4試合」にこだわったのだ。
■若手が減りカモが増える
それなら残り試合が3試合から4試合に増えたことで、規定投球回に到達するのか。
次回登板予定は18日のマリナーズ戦で、それ以降は中5日で投げるスケジュールになる。大谷は中6日以上に比べて、中5日の成績がいい。中6日以上の防御率が3.13なのに対して、中5日は1.65。つまり中5日登板がプラスに作用するうえに、対戦相手にも恵まれそうだ。
残り3試合だと相手はマリナーズ、ツインズ、レンジャーズだが、4試合になるとマリナーズ、ツインズ、アスレチックス、アスレチックス。つまりレンジャーズ戦がなくなって、アスレチックス戦が2試合増えることになる。
大谷の対レンジャーズ戦の防御率は5.74なのに対し、対アスレチックス戦は1.54。つまり苦手のレンジャーズ戦がなくなり、カモのアスレチックス戦が2試合増えるのはデカい。
さらに言えば、目下7戦連続本塁打中と絶好調の同僚トラウト(31)の存在も追い風になるのではないか。トラウトがバットで援護すれば試合を優位に進められるし、長いイニングを投げることにつながるからだ。
大谷が今後、無事に4試合に投げるとすれば、規定投球回到達に向け視界良好だ。