日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

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「今の三役は重圧で萎縮している印象」

 12日初日の大相撲大阪場所。しかし、上位陣は横綱照ノ富士と、大関貴景勝の2人だけと、依然として危機的状況にあることは変わらない。

 ──1横綱1大関の“異常事態”が続きます。

「困惑している、というのが率直な気持ちですね。大相撲は上の力士がいなくなると、新たな力士が台頭してきた歴史がありますが、今はそれがない。ここ数場所で言えば、大関陣が物足りなかった。御嶽海(昨年9月場所で陥落)や正代(同11月場所で陥落)がもう少し頑張ってくれればよかったんですけどね。その意味では先場所優勝の貴景勝は頑張ってくれました」

 ──昨年は3場所連続で平幕が優勝です。

「平幕優勝が悪いとは言いませんし、むしろよく頑張っていると思う。でも、そこは番付社会ですからね。横綱大関は一体何をやっているのか、と思われても仕方ありません」

 ──関脇小結の三役は多士済々ともっぱらだが。

「のびのびと相撲を取れていない印象ですね。今の三役は平幕のターゲットにされている。普通、平幕は横綱戦、大関戦は強く意識するものですが、関脇と小結についてはそこまで意識はしないもの。それが横綱と大関が少ないせいか、平幕が三役に対して普段以上に『勝ってやろう』と意欲を燃やしている」

 ──理事長が三役の頃はどうだったのですか?

「重圧という重圧はなく、のびのび相撲を取っていましたね。そうこうしているうちに優勝して大関に……と。今の三役はどこか萎縮している気がします。下からの圧力に加えて、周囲の期待、『大関にならなければ』という重圧に押し潰されているのではないか。ただ、それでも誰か頭角を現すものなんですが……」

■無理やり大関はつくらない

 ──なぜ、そうした力士が出てこないのですか。

「理由はさまざまありますが、私の印象としては体力と気力、この2つが充実していない力士が多い。最近の力士は体調がちょっと悪いとすぐに稽古を休みがちです。かといって、体力があっても気力が続かなければ、ひとつの負けから立て直せず、ずるずる連敗しかねない。こうなると、1場所は良くても、2場所3場所と成績を残せない。大相撲は心技体が揃ってこそです」

 ──ちなみに大相撲の番付は「大関以上に2人」が慣例と言われています。仮に1横綱1大関のどちらかが引退となれば、関脇に下駄を履かせて大関をつくるのですか?

「それは、その時になってみないとわかりませんが、番付のためだけに大関をつくることはできないでしょうね。昔なら、その時の東の関脇を大関にしたのでしょうけど、今はみんなが納得できるように話し合う必要がある。無理やり大関をつくっても、力がなければすぐに落ちてしまうだけですから」

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