PGA、LIV、DP(欧州ツアー)3団体突然発表の事業統合、まさかの和解案もすんなりは進まない
なによりPGAツアーがサウジアラビアに対して反感を持つ原因となった9.11同時多発テロの遺族やプレーヤーの中からは、モナハンコミッショナーに対して「偽善者」だといった批判も上がっており、騒動は長引きそうだ。
LIVゴルフが消滅すれば、多額の移籍金を手にしたD・ジョンソン、B・ケプカ、B・デシャンボーらトッププロは丸儲けして“古巣”に復帰できるが、すんなり戻れない選手も出てくる。
「公正で客観的に」判断されるツアーメンバー資格への復帰は、すべてのLIV移籍組に約束されているわけではないのだ。
それだけにノーマン一人に混乱の責任を押し付けて、これまでの騒動の幕引きを図ろうという思惑も見え隠れする。
一方、松山英樹らLIVゴルフからの誘いに乗らずにPGAツアーに残ったプレーヤーに対して、PIFからロイヤルティーが支払われるという噂もあるが、それも明らかになっていない。
事業統合発表後に体調を崩して緊急入院したモナハンコミッショナーは、「経営統合ではなく、あくまでサウジはマイナーなスポンサーのひとつ」と強調し、PGAツアーは来年以降も今まで通りに開催されるとアナウンスした。
だとすれば、新ツアーが発足してもトッププレーヤーに年20試合の出場義務があるPGAツアープロが、新ツアーにどれだけ出場できるのかハッキリしない。3団体合意には批判とともに、不透明な部分がまだまだ多い。
(ゴルフライター・吉川英三郎)