「大ちゃん」元朝潮が急逝…手負い朝乃山の背中を押す亡き師匠の「前に出る相撲を取れ」
3日夜、前高砂親方の元大関朝潮が小腸がんで急逝したことが明らかになった。67歳の若さだった。
本名は長岡末弘。横綱昇進こそかなわなかったが、183センチ、183キロの大きな体で愛嬌もあり、ファンから「大ちゃん」と親しまれた大関だった。
そんな大ちゃんの弟子として知られているのが、元大関で現在は前頭筆頭の朝乃山(29)だ。2021年に自ら起こした不祥事による謹慎処分で、大関から三段目まで陥落。それでも元の地位に戻るべく、奮闘している。その矢先、10月の秋巡業で左足を負傷。12日初日の11月場所に影響が出ることは必至だ。
親方のひとりは「不利な状況の今だからこそ、元師匠の教えが生きる」と、こう続ける。
■「前に出る相撲を取れ」
「心がけるべきは速攻相撲でしょう。相手を押しながら前進し、まわしに手をかけたら一気に持っていく。前に攻める分にはケガの影響も少ないし、前高砂親方も朝乃山には常々『前に出る相撲を取れ』と言っていましたからね。必要なのはまさにその教え。確かに前高砂親方は現役時代からの天真爛漫な性格が変わらず、弟子の指導もほぼ放任。無責任と言われ毀誉褒貶が激しかったが、切り替えが早く、モチベーターとしては優秀だった。朝乃山もそんな師匠に救われたことがある。新十両の場所では10日目まで5勝5敗。波に乗れずに悩んでいた時、師匠に食事に連れていってもらい、悩みを吹っ切った。翌日から5連勝でした」
師匠と外食なんて余計緊張すると思いきや、師弟の垣根が低いのが高砂部屋の特徴でもある。
11月場所では亡き恩師に白星を捧げたい。