著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大谷と話したい選手たちが示す「球宴の価値」…意見交換や助言、研鑽の場としてメリット大

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 選出されたものの出場を辞退する選手の姿が定着したのが、昨今の大リーグのオールスター戦である。

 1997年にインターリーグが始まったことで、観客にとって異なるリーグ間の対戦が日常的になり、オールスター戦の希少性は薄れた。

 そして観客からの注目度が減少することで、契約の中にオールスター戦関連のインセンティブ条項があるとしても、選手にとって何があっても出場しなければならない試合ではなくなっている。

 何より、フェンスに衝突したり、ベースで指を突いたりすれば、思わぬケガとなって後半戦に出場できなくなってしまうのだから、選手たちが理由を設けて出場を辞退するのも無理からぬところだ。

 しかし、例えば、他の選手に話を聞くことで打撃や投球の問題点を解消する手掛かりを見つけられるのは、日頃は対戦する球団に属する選手が、各リーグの名の下に集まるというオールスター戦の持つ華やかな雰囲気の効用でもある。

 研究に余念のない選手の場合、相手に優れた打者がいる試合では、打撃練習でその選手を注視することで打撃術の秘訣を探ろうとする。大リーグに昇格して3年目だったチェイス・アトリー(フィリーズ)がマリナーズとのインターリーグで、イチローの打撃練習の様子を凝視し、バットの返し方に注目していたことなどは典型的な例である。

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