やり投げ北口榛花 東京五輪から格段に上がったメダルへの期待…専門家が語る「ここぞの集中力」
北口にとっての好条件はライバルたちとは異なる。やり投げや円盤投げはスキーのジャンプ競技と同様、空気抵抗を利用して揚力を得ることができるので向かい風の方が有利だ。
「体が柔軟で身長(179センチ)が高い北口の場合、やりを投げる角度が他の選手よりはるかに高い。向かい風より追い風の方が距離が出るのです。北口自身も追い風の方が得意と言っています。選手は風向きをコントロールすることはできませんから、本番まできっちり調整して欲しいです」
小山氏がこう言って不安視していたのは6月の日本選手権の結果だ。北口は6回投げてファウル3回。優勝したのは2回目の記録だった。
「正直、調整が順調に進んでいない印象を受けました。パリ五輪で金メダルを取るため、もう一歩先を目指し、コーチと話し合ってフォームなどを少し改良しているのかもしれません。ですが、DLモナコ大会(12日)で、今季最高を更新する65メートル21で優勝。自分のタイミングをつかみかけてきた。安心感につながるし、強敵に重圧を与えることもできた。近年の北口は、ここぞという時の集中力は驚異的です。最終6投目の強さがそれを表しています」