北口榛花のやり投げ人生を変えたチェコ留学 始まりは1枚の名刺、言葉の壁“必笑”エピソード
北口榛花(24歳・2022年世界陸上やり投げ銅メダル)
「ドブリーデン」
チェコ語で「こんにちは」を意味する言葉だ。
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北口榛花(24)は2022年7月の陸上世界選手権(米・オレゴン)で、日本女子初となる投てき種目のメダルを獲得、それまで国内では注目されにくかった「やり投げ」という種目に光を当てた。
その裏側で欠かせないのが、チェコへの留学だ。日本大学在学中にコーチを求めて単身、チェコへ。そこでデービッド・セケラックコーチと出会ったものの、最初に言葉の壁にブチ当たった。教えを請うのはもちろん、日常生活でも必要不可欠なチェコ語の壁をどうやって乗り越えたのか。
やり投げ強豪国で知られるチェコ。北口にとってはそれまで訪れたことのない異国だ。コーチと出会ったきっかけは2018年、フィンランドで行われたやり投げの国際講習会だった。
◇ ◇ ◇
国際講習会でポーランドとチェコのコーチが話し合っている中、突然、私が呼ばれたんです。そこには(デービッドではなく)チェコの人が2人いて、そのうちのひとりから「世界大会やユースはもちろん、ユーチューブの動画でもあなたを見たことある」と言われて、「俺たちはこういう練習しているぞ」という話をされ、チェコのコーチのひとりに名刺をもらったのです。
高校時代に陸上の先生から「投げ方やスタイルから見て、チェコが一番合う」と言われていたこともあり、もともとチェコに興味がありました。
ただ、つながりもなくお金もかかるから違う国を転々としていた。だから名刺をもらったとき、「今しかない! やっと手に入れたチェコとのつながりを今、ここで使うしかない」と思いました。
翌日、名刺に書いてあったメールアドレスに連絡しました。すると、「受け入れられなくなったが、代わりにここに頼んでみて」と返信が。そこにはインスタグラムのアカウントのURLが貼り付けられていた。それがデービッドでした。