夏の甲子園「2部制」導入のタイミングは…ナイター経験者は肯定的もスンナリいかない複雑事情

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「そう簡単な話ではない」らしい正式導入

 前の試合が長引き、結果としてナイター開催になったことは、過去の甲子園でも珍しくはない。しかし、従来のそれと異なるのは、開始時間が決まっていたことだ。

 大会3日目の9日、17時からの第3試合で南陽工(山口)を下した菰野(三重)の萩原部長が言う。

「抽選会で17時プレーボールとわかっていましたからね。起床時間から食事時間までナイター開催に合わせて調整ができました。普通、甲子園は第1試合以外は開始時間が流動的じゃないですか。前の試合次第で、もっと遅くなることもある。それを考えると、調整はしやすかったですね」

 敗れた南陽工の澤野部長も言う。

「17時開始といっても、授業が終わってから部活と考えると、普通に練習をしている時間ですからね。ウチのグラウンドは照明があってナイターにも適応しているので、環境を考えれば今まで通りですね」

 菰野の部員も「甲子園に来てからは16~18時に練習するなど少しでも夜の環境に合わせようとしていました」「風が吹いて、むしろ寒いくらいでしたね」と話している。

 プロのスカウトからは「2部制だから一度、ホテルに戻ってシャワーを浴びたんですが……。涼しい室内からまた暑い甲子園に……と考えると、出掛ける気力が萎えかけた。2部制は勘弁ですよ(苦笑)」という声もあったが、現場はおおむね2部制を歓迎。今回は3日間のみの「試験導入」だったが、来年は正式導入待ったなしか。

「いや、そう簡単な話ではない」と話すのは、マスコミ関係者だ。

「出場校は歓迎するでしょうが、2部制の導入は簡単な話ではありません。というのも、甲子園を本拠地とする阪神タイガースも無関係ではないからです。全日程で1日3試合の2部制にすればもちろん、午前中と夕方以降の1日4部制にしても、これまで以上に日程を要することは確実。終了時間を区切ることで継続試合が何試合も出たり、雨天中止も考えれば、より多くの日程を確保しなければいけない。そうなると、阪神がいつまで経っても本拠地に帰れず、そちらにしわ寄せが行く。今年の11月までには来夏の甲子園の日程を決めなければいけないが、それまでに阪神と折衝して調整することを考えると到底、来年の2部制の正式導入は間に合わないようです」

 2部制が決まるのはどんなに早くても再来年。あるいはもっと先の可能性もある。それまで甲子園に出場する球児たちは、従来通りの対策、気合と根性で酷暑を乗り切るしかなさそうだ。 

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