命懸けの灼熱甲子園 出場校それぞれの熱中症対策…水分、塩分、漢方、体脂肪、プール
選手が熱中症を訴えない日はない今夏の甲子園
開会式で花巻東の選手が体調不良を訴え、「入院が必要」と診断されて始まった今夏の甲子園。カラスが鳴かない日はあっても、選手が熱中症を訴えない日はない。
去る10日は宮崎商の遊撃手兼リリーフ投手の中村奈一輝(3年)が守備中に足がつり、登板できなくなった。やむを得ず中京大中京(愛知)打線につかまり始めた先発投手を引っ張ったが、逆転打を浴び、初戦敗退の悲劇である。
高野連も五回終了時に10分間のクーリングタイムを設けるなどの対策を取っているものの、いかんせん、甲子園のある兵庫県は7日の開会式から最高気温が35度を下回った日がない。熱中症アラートがガンガン鳴りまくっているが、グラウンド上の体感温度はそれ以上だろう。
■「大事なのはちゃんと飲むところを見ること」
各校はどのように対策を取っているのか。
鶴岡東(山形)の阿部部長は「極端に変わったことはしていませんが」と、こう続ける。
「こまめな水分補給、首を冷やす、経口補水液を飲む、塩をなめる……などですね。例えばスポーツドリンクは甘いので、口直しに水を飲みたくなるじゃないですか。その時も水だけだと塩分が取れないので、塩をひとなめさせるようにしています」
練習中に水を飲んではいけない、なんてのは過去の話。どの学校も水分補給の大切さは常識である。阿部部長が言う。
「ただ、選手も試合に入り込んじゃうと水分補給を忘れることがあるんです。だから我々大人が声がけをしている。特に守備中に運動量が多いバッテリーは、イニングが終わったら必ずベンチで監督の近くに座らせ、水と塩分を取らせています。あとは漢方ですね。OB会の方に教えてもらったものを朝食後や試合なら五回終了時に飲ませています。これが効くんですよ。『これ飲んだら足つらないから!』と言って飲ませているので、プラセボ効果(まったく薬の効果のない薬を飲んでも効果が出てしまうこと)もあるかもしれませんが(笑)。大事なのはちゃんと飲むところを見ること。以前、試合中に足をつる選手が続出したことがある。後で聞いたら、漢方を飲み忘れていた。だから『飲めよ』と言いっぱなしではなく、ちゃんと飲むところを確認するようにしています」