介護
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握力がなくても身長2メートルの男性を起こすことができる
力任せの“パワー介護”で腰を痛める人は少なくない。実際、厚労省の調査によると腰痛は医療や介護を含む「保健衛生業」でとりわけ生じやすいことが分かっている。 「今から約25年前、38歳の頃に脳梗塞を発症し、左半身に麻痺の後遺症が残...
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末期肺がん80代男性「幸せな思い出をつくれた。いつ死んでもいい」
「病院の無機質な天井を見て死にたくない」 この発言を機に奥さまがネットで在宅医療の存在を調べ、家族総出で病院と討論しあった末に退院。自宅に戻られた肺がん末期の80代後半の男性患者さんがいらっしゃいました。 このように、...
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認知症を発症したら地域の活動はやめるべきでしょうか?
「父が受け持っていた町内会長の役職を辞めさせるべきか悩んでいます。本人はまだ続けたいと話していて……」 以前、認知症と診断されたばかりの父親と一緒に暮らす娘さんから、こんな相談を受けたことがあります。地域活動への参加は、定年退...
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妻が怖い。このまま死んでいくのはむなしい…80代男性患者が涙ながらに訴えた
在宅医療を始められる方の事情はさまざまです。家族に見守られながら過ごす方から1人暮らしの方。またその家の経済的な事情、ご家族と患者さんとの家庭内における関係性の違いによっても、その療養環境は微妙に変わってきます。 その患者さ...
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当院スタッフが打ち明ける「自分が入院して初めてわかったこと」
「入院しなくてもよいほど容体が落ち着いた」「寿命にあらがえないなら家族と一緒にいたい」「最期の時は自宅で好きなように過ごしたい」など、在宅医療を開始される理由は患者さんによってさまざまです。今回は、当院のスタッフのエピソードを紹介した...
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認知症の親についカッとなってしまう…どう対処すればいい?
認知症の方を介護する家族は、診断されてから病気の受け入れに至るまで、4つの心理的ステップをたどります。第1ステップは「戸惑い・否定」、第2ステップは「混乱・怒り・拒絶」、第3ステップは「割り切り、または諦め」、第4ステップは「受容」...
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ささいなことでイライラして怒ってしまう…自己嫌悪する患者さん
「今日5時ごろ来てくれる! って電話で怒っちゃったけど、ごめんね。年取るとね、ささいなことでイライラして手が付けられなくなっちゃう。子供にも注意されてるのよ」 当院では診療に伺う当日の朝、何時ごろに患者さんの自宅に到着するのか...
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認知症の症状を和らげる「タクティールケア」とは?
認知症の行動・心理症状(BPSD)に有効とされているのが「タクティール(R)ケア」です。手を使って相手の手や足、背中などに触れるケアで、押したり揉んだりするマッサージとは異なり、ゆっくりと柔らかく包み込むように行うのが特徴です。19...
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脳卒中の後遺症で低下した「機能」や「能力」はどのように向上するのか?
脳卒中や脳外傷などで後遺症が出た時、「元通りに回復したい」と思うのは当然の気持ちです。 ただ、そうした病気やケガで大きな脳損傷が生じた場合、必ず後遺症が残り「機能障害」が起こってしまいます。麻痺で手足が動かない、手足がしびれ...
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認知症終末期の親が誤嚥しないための食事介助法は?
認知症終末期になると、自力で食事を取ることが難しくなり、家族による食事介助が必要になります。その際、注意したいのが「誤嚥(ごえん)性肺炎」です。認知症により脳の萎縮が進むと嚥下機能が障害されて食物をうまくのみ込めなくなります。通常で...
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呼びかけに応じない状態でも好きなクラシック音楽が流れると目が輝く
「ごめんなさい、間違えてお渡ししてしまったCDを次回の診療の時に戻していただければとお伝えしましたが、やはり聴いているといないとでは、だいぶ変わるから聴かせたいとご家族がおっしゃっていて、着払いでもいいのでCDを送っていただけませんか...
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医療相談から愚痴まで…患者や介護者の気が軽くなるよう“聞き役”に
自宅での療養を希望される方の中には、その理由として、ペットと一緒にいたいからという方も少なくはありません。 その方は肺がん末期のために通院が難しくなり、在宅医療を開始された75歳女性の患者さんでした。 「はじめまして。...
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認知症の父親がティッシュを食べてしまいます…対応策は?
認知症の親を介護する家族から受ける相談に多いのが、食べ物以外の物を口にする「異食」の症状です。 側頭葉が強く障害されて起きる症状に口唇傾向があり、これは食べられる食べられないに関係なく何でも口に入れる症状で、このうち食べ物以...
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認知症に備え「エンディングノート」に記入しておくべき内容は?
日本人女性の約半数、男性の4分の1が90歳を祝う「卒寿」を迎えているのはご存じですか。日本は世界一の長寿国である一方、認知症の患者数も世界一といわれています。 認知症の発症に備えて準備しておきたいのが「エンディングノート」で...
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患者本人は認知症…治療決定に関わる家族は信条で輸血を拒否
骨髄中の造血幹細胞に異常が起きる骨髄異形成症候群。これを患う84歳の男性の患者さんが、入院している病院からの紹介で、私たちのところで在宅医療を開始することになりました。 骨髄異形成症候群は、正常な血液細胞がつくられなくなるこ...
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スマホを積極的に活用…連絡のやりとりが時代とともに変化
ある日突然、1人暮らしの自宅で倒れ、3日目に隣人に発見された肺がん末期の女性(75歳)が当院での在宅医療を開始されました。 聞けば、ここ何年も医療機関にはかかっておらず、日ごろから近所付き合いもあまりなく、そのために発見が遅...
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認知症リスクをチェックする新しい評価尺度「J-MCI」とは?
前回、認知症の診断に必要な検査の方法についてお話ししました。認知症は早期に診断し、早期に治療を開始すると、病状の進行をある程度遅らせられると知られています。一方、ある調査では「認知症の症状が見られ始めてから病院を受診するまでに平均4...
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ねぎらってくれてありがたくて…母親の介護をする家族からの電話
それまで介入していた他の在宅医療クリニックの対応に不信感を持った娘さんから、当院に連絡をいただいたのでした。患者さんは娘さんのお母さまで、パーキンソン病を患う75歳女性。 娘さんは医療従事者で患者さんの家の近くに家庭を持ち、...
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40代男性からの電話「コロナ後遺症で倦怠感がひどく病院へ通えません」
「コロナ後遺症外来で、フリーテストステロンが5.8と低くて、男性更年期障害って言われました。今後治療を始める予定ですが、倦怠感がひどくて、後遺症外来に行けるのかわかりません。そちらの在宅医療で、男性更年期障害の治療は可能でしょうか?」...
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義父の干渉で、義母が検査や治療を積極的に受けたがらない
「頭がすごくぐるぐるしてて、吐きそうで吐けない感じの気持ち悪さがあるんです」 電話の主は70代の女性。旦那さんが指定難病の筋ジストロフィーを患っており、2人暮らしです。症状から念のため精密検査が必要と判断し、病院を紹介。奥さま...
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認知症を狙った訪問販売が増加中…契約を取り消す方法は?
1人で暮らしている認知症の母の様子を見に行ったら、高額なサプリメントをいくつも購入していた──。近年、認知症の方を狙った悪質な「訪問販売」が増えています。実際、昨年5月に認知症と診断を受けている高齢者につけ込み、訪問販売でガスや電気...
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笑顔で最期を迎える…大切なのはおカネより「思い出」なのです
私は、親を介護した子供や、家業や工房などを継ぐ子供、そして国民の生活を支える農林水産業に従事する人などには財産を継承させてもいいけれど、それ以外の人には遺産を継がせず相続税を100%にすればいい──。かねてそう主張しています。 ...
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末期がん90代女性「一人娘とは絶縁状態で会うこともできない…」
「私は身寄りがいるようでいない。娘が一人いるんだけどね、疎遠になって会うこともできない」 肺がん末期の90代の独居女性。私たちが自宅に伺った時、開口一番こう言いました。どちらかというと自暴自棄になっているように見受けられました...
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能登半島の高齢化率は50%…被災地の医療支援が急速に難しくなった
能登半島地震が発生してから1カ月が経過した。私が医師になってから関わる3回目の震災だ。最初は阪神・淡路大震災で、実家が被災した。次は東日本大震災。福島県浜通りの医療支援に関わっている。そして今回だ。 震災支援は急速に難しくな...
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発達障害が認知症と誤診されやすいのはなぜか…その特徴とは?
高齢者の発達障害が、認知症と誤診されやすいのはご存じでしょうか。2022年9月、熊本大学の研究で認知症専門外来を認知症疑いで受診した患者446人のうち、7人は発達障害であったと報告されました。実際、当院でも物忘れの症状で認知症を疑い...
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誤嚥のリスクが多少あっても好きなものを食べさせてあげたい
「本日診察しまして、ご本人はおいしくないからとペースト食ではなく、普通の食事がいいと相談を受けました。それがだめなら、せめて主食はお粥がいいとおっしゃっていました。多少リスクはありますが、普通のおかずよりはお粥のほうがイレウス(腸閉塞...
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日本生命は最大手ニチイHDを2100億円で買収…介護業界の倒産・廃業が今後激増するワケ
日本生命は昨年11月、介護事業最大手のニチイ学館の親会社ニチイホールディングスを約2100億円で買収することを発表した。大手生命保険会社の介護事業への参入は、第一生命が介護施設の不動産投資へ本格参入したのに続き2社目となる。 ...
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視力が下がると認知症になりやすくなるのはどうしてか?
昨年7月、アメリカのミシガン大学が71歳以上の高齢者約3000人を対象に視力検査や認知機能検査を行った研究で、視力の低下は認知症の発症リスクを上昇させると明らかになりました。なかでも近く(手元)を見る視力に問題があるグループでは約2...
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認知症の母を可能な限り自宅で過ごさせてあげたいと思っていたけれど…
ご主人を在宅で看取った経験がある95歳の女性。認知症を患っており、さらに胃がんの末期。「母は最期まで自宅で過ごすことを希望するだろう」と、息子さん、娘さんが在宅医療を選択されました。 「ご加減いかがですか」(私) 「ベッ...
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ケアマネジャーは介護を仕切る司令塔 在宅看取りの重要なキーパーソン
自宅での介護や看取りを希望していても、本人と家族だけでなんとかなることはあり得ません。医師や看護師、ケアマネジャー(ケアマネ)らの医療スタッフ、さらに介護スタッフとの連携と協力が不可欠です。 極端な話、本人の希望通りに在宅で...