患者本人は認知症…治療決定に関わる家族は信条で輸血を拒否
骨髄中の造血幹細胞に異常が起きる骨髄異形成症候群。これを患う84歳の男性の患者さんが、入院している病院からの紹介で、私たちのところで在宅医療を開始することになりました。
骨髄異形成症候群は、正常な血液細胞がつくられなくなることから、息切れや動悸がしたり、細かい点状の皮下出血があらわれたりします。
そのほか、鼻血や歯茎からの出血、倦怠感や感染に伴う発熱などの症状が見られることもあります。比較的高齢者に多い急性骨髄性白血病になりやすく、もっぱら輸血で延命することができます。
ただ、この患者さんの場合、介護や治療の決断にかかわるキーパーソンの奥さんと娘さんが、信条の都合で輸血に抵抗があるとのこと。在宅医療を開始するにあたって輸血は基本的にやらないとの意見でした。
当初は昨今の宗教がらみのニュースのこともあり、私たちも非常にセンシティブな問題だと思い身構えていましたが、初診でご自宅に伺うと、そこには穏やかな患者さんがいらっしゃいました。
私はこのようにお話ししました。