介護
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体調、薬、家庭環境まで…在宅医療の診療所ではさまざまな電話相談に対応
「目を離したすきに、母が自分で痛み止めの麻薬を一気に4つも飲んでしまったみたいなんです。なにか気をつけたほうがいいことはありますか? いま本人は特にいつもと変わりないのですが……」 24時間診療に対応している私たちの診療所では...
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認知症の親が施設入居を拒否するのはなぜか…具体的な促し方は?
「認知症と診断されたプライドの高い父が、施設への入居をかたくなに嫌がっています。どうすればいいでしょうか」──。ご家族から相談を受ける機会の多い質問のひとつに、施設入居の拒否があります。 認知症が軽度の場合は認知機能が保たれて...
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「在宅死」を勧める政府にダマされない 介護施設の選択が決して悪くないと言える理由
前回、在宅介護と在宅看取りの違いを説明しました。その背景には、政府の思惑が絡んでいることをご存じでしょうか。今回は、その点に触れながら、ポイントを解説します。 介護が必要で自宅で世話をし切れないケースは1990年代半ばまで入...
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夫の最期を共に過ごすために妻は「介護休業」を活用した
その方は前立腺がんを患い、リンパ節や骨転移もされている還暦前の患者さんでした。 すでに終末期と言われていましたが、本人は職場には何も知らせずに普通に仕事をしていたとのこと。ある日、呼吸困難を起こして病院へ救急搬送、入院となり...
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「在宅看取り」と「在宅介護」は似た言葉にあらず…決定的な違いを理解すべき
2017年に行った厚労省の調査によると、8割が「自宅」で最期を迎えたいと回答。病院や高齢者施設との回答は少数派で、多くの人が住み慣れた場所で自分らしく最期を迎えたいと考えていることが分かります。 家族がいる人にとっては、最期...
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慢性腎臓病の50歳男性「墓参りで死んだ両親に会ってきた。早くそっちに行きたい」
「ばい菌が入ったら最悪足を切らなきゃいけないって言われたんだよね」 形成外科病院に通院しながら、私たちのところで在宅医療を開始された50歳になる1人暮らしの患者さんがいました。 その方は糖尿病、壊死性腸炎、慢性腎臓病を...
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認知機能の低下を防ぐ「知的活動」の具体的な方法は?
認知機能の維持や向上には運動が有効だとご存じの方は多いでしょう。ただ、効果をより高めるには、併せて記憶力、言語能力、判断力、計算などの「知的活動」を行う必要があります。 2013年、米テキサス大学ダラス校の研究者らによると、...
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アンダーヘアを処理する「介護脱毛」の実態…12年で68倍に急増
近年、ミドル世代を中心に広まりつつあるのが「介護脱毛」だ。これまで脱毛といえば、若い世代がやるものというイメージが強かったが、将来受けるかもしれない介護に備えてアンダーヘアの手入れをする中高年層が増えているという。「リゼクリニック新...
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「特別訪問看護指示書」の提出で週4回以上の訪問看護を受けられるようになる
当院で在宅医療を利用する患者さんは「介護保険」か「医療保険」のいずれかを利用されています。 介護保険は、いわゆるヘルパーさんによる排泄の介助や訪問入浴など。医療行為には該当しないが、生活において重要な活動を補えるサービスを割...
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認知症の親と旅行する際に気を付けるべきポイントは?…準備しておくこと
認知症を発症した親と一緒に旅行に行きたい──。そう考えるご家族の方は多いのではないでしょうか。認知症が軽度の方であれば旅行に来たと認識でき、かつ発症前から旅行が趣味であれば、よい気晴らしになるでしょう。 一方で、認知症が中等...
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糖尿病の人だけが発症する「糖尿病性認知症」とはどんな病気?
糖尿病患者さんにだけ発症する「糖尿病性認知症」をご存じでしょうか。これまで糖尿病が認知症の発症リスクになることは知られていましたが、約15年前に糖尿病だけが原因になる認知症があると明らかになりました。 症状は一般的なアルツハ...
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四肢麻痺の妻の介護で退職した夫 誕生日にはベッドをデコレーションして祝福
40代半ばという年齢で脳出血を起こし、救急搬送された女性の患者さんがいます。脳出血では、脳が腫れて頭蓋圧が高くなり、脳の中にある境界や隙間から脳組織の一部がはみ出す「脳ヘルニア」を起こすことがあります。死に至ることもある重篤な状態で...
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リハビリが必要になるのはどのような状況なのか?
「リハビリテーション医療」とは、介助が必要になるくらい落ちてしまった「機能」と「能力」を回復させ、日常生活や生産活動の自立(あるいは介助の軽減)を図り、新しい人生に歩む意欲を高めて幸せを感じていただく医療です。 人間の機能と能...
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友人と食事したりたばこを吸ったり…これも自宅での在宅医療だからこそ
その男性(57)は統合失調症と歩行困難な腰痛を抱えており、1人暮らし。コロナに感染し入院、退院後から在宅医療を開始されました。私たちが訪問した時は寝たきりで、腰やかかとの床ずれ(褥瘡)がひどい状態。入院で体力がすっかり落ち、ベッドか...
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認知症と妄想が加速…薬を飲まずに枕の下に隠してしまう
患者さんが薬を飲んでくれない──。そういったケースは少なくありません。 認知症の患者さんでは、判断機能低下や、病気のことを受け入れられないために服薬を拒否することもしばしば。内服カレンダーを無視、飲んだ薬を意図的に吐き出す、...
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抗がん剤の再開を目指し在宅医療を開始…6日で歩けるように
その患者さんは福岡でお一人住まいをされていた方でした。ご長男が北海道在住で公務員、ご長女は都内にお住まいとのこと。 1年前まで元気だったということですが、昨年の11月あたりから体調が悪化。それでも病院を受診せずやり過ごしてい...
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がんの治療はなくなってもその人の人生が終わったわけじゃない
「体調はどうですか?」(私) 「歩くのもやっと。食事も寝たまま食べることが多いです。本人は大丈夫だって言ってるんだけど」(夫) 2020年2月から当院で在宅医療を開始されている95歳の女性は、骨髄異形成症候群と慢性心不全...
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88歳の夫を86歳の妻が介護…いつまでがんばればいいのか
ご近所の老夫婦のお話です。ある日、88歳の夫が突然自宅で倒れ、意識のない状態で救急病院に運ばれました。急性心筋梗塞でした。幸い一命を取り留め、意識も回復。徐々に一般状態が良くなり、医師からは「退院して自宅での生活が可能」と言われまし...
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介護離職を防ぎたい…「顧問介護士」生みの親が明かす協会設立の苦境と起死回生
介護離職が社会問題になっている。厚生労働省の雇用動向調査によると、2021年に介護を理由に仕事を辞めた人は約9万5000人。その中心は40~50代の働き盛りだ。仕事を失えば生活の基盤が危うくなるし、職場の穴を埋めるのも大変。個人にと...
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入浴は危険だったが…やりたいことを最後までできて良かった
重症筋無力症と心不全を患い、白内障や前立腺肥大症も併発されている87歳の男性。原付で近隣をめぐることが趣味で、通院もできていましたが、外出中の転倒をきっかけに体調を崩し、当院が3年前から訪問診療をしています。 重症筋無力症と...
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介護うつのサインとは? 防ぐための具体的なリフレッシュ法
認知症の方を介護するご家族によくみられるのが「介護うつ」です。介護による疲れやストレスから、不眠、食欲低下、希死念慮といったうつ症状が引き起こされるのが特徴です。厚労省の調査によると、在宅介護者の4人に1人が介護うつの状態とされ、要...
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在宅医療なら1日24時間、自分のペースで好きなように過ごせる
今回は、在宅医療に関心を持つ患者さんやご家族から受ける質問で、よくあるものを紹介しましょう。 【病院での療養と比べて、在宅のほうが勝っていると思うことはなんですか?】 何を良しとするかは人それぞれですので、明確な答えは...
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65歳の肺がん患者「絶対に治したいと手術も抗がん剤も頑張ったが…」
その方は65歳の男性患者さん。企業でそれなりのポストまで上り詰め、定年まで勤めあげた方でした。都内・山手線沿線に一軒家を構え、自宅には趣味の鉄道模型の部屋をつくり、人生を通してたばこを愛しておられました。 定期健診で肺がんが...
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最期が近づいているなら…治療によるつらさからは解放してあげたい
私は最期に「ありがとう」と言い合える人間関係が好きです。もし私自身がその時を迎えたら、心からそう言えるように今を生きていきたいとも考えています。 東京の城北地域の住宅地に、80歳手前のご夫婦がお住まいになっていました。 ...
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在宅医療では「心」の環境調整が大事…可能であれば離れて暮らす家族も交えて
ご自宅で在宅医療を始めようとした場合、事前に行うさまざまな必要な準備がありますが、私たちはそれを「環境調整」と呼んでいます。 患者さんの状態に合わせた介護ベッドや手すりの設置、車椅子など自宅で療養するための器具や道具の準備で...
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夫婦ともに認知症で夫に先立たれた妻「パパのところに行けるわ」と眠るように…
先週からの続きです。 ともに認知症ながら、2人暮らしの90代のご夫婦。冬の朝、旦那さんが玄関先で倒れているのが発見されました。 幸いなことに旦那さんは一命を取り留めましたが、入院中の安静生活で歩行困難に。 そ...
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90代夫婦2人暮らし 認知症を患いつつも楽しく暮らしていたが…
認知症といっても程度はさまざまで、日常生活を普通に送ることが難しくない方は少なくありません。 当院の患者さんで、90代のご夫婦ともが認知症。お2人暮らしをされていました。 旦那さんは寡黙だけれど明るい性格。日常的に物...
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患者のわがままに振り回されつつも在宅医療を進めていく
その方は、旅行中に脳卒中を起こし、救急搬送。旅行先の病院で入院し治療を受けていましたが、回復期のリハビリで東京の病院へ転院。その後、自宅へ戻られてきた70代の男性。お一人暮らしです。 「先生たちが来ること知らなかったよ」(患者...
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在宅医療開始初日に…「長いお付き合いになると思っていたところでした」
在宅医療を開始するにあたってご家族が一番に心配されることはなにかといえば、それは最期の看取り。タイミング良く在宅医師はいてくれるのか? 救急車を呼んだ方がいいのか? 死亡診断は? これから起こるであろう状況を想定し、不安を募らせる方...
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心不全の80代父親を看る娘「缶ビールやハイボール1缶なら飲んでもいい?」
在宅医療を開始する患者さんの大半は、主にがん患者さんに見られるように、ご家族と相談の上で余命を自宅で過ごそうと決めた方です。 比較的高齢の患者さんでは、これから先、ADL(日常生活動作)が衰えていくだろうと予想し、そのうち通...