認知症の親についカッとなってしまう…どう対処すればいい?
認知症の方を介護する家族は、診断されてから病気の受け入れに至るまで、4つの心理的ステップをたどります。第1ステップは「戸惑い・否定」、第2ステップは「混乱・怒り・拒絶」、第3ステップは「割り切り、または諦め」、第4ステップは「受容」です。
中でも第2ステップの時期は、認知症の症状が改善されず介護がますます困難になると、どんなに親や配偶者思いの人であってもどう対応すればいいのか分からず混乱し、怒りの感情が湧き上がってくるのです。
以前、訪問診療でお会いした80歳の男性は、約20年前に若年性認知症を発症した同い年の妻と2人暮らしをされていました。少しでも妻の力になりたいと、それまで必死に介護をされてきましたが、年齢を重ねるにつれて旦那さん自身の体力も低下し、思うように動けなくなってきたそうです。そんなある日、認知症が進行した妻から昼夜問わず30分おきに「トイレに連れて行ってくれ」、「(食べたばかりなのに)ご飯はまだか」と何度も繰り返し言われたのをきっかけに日頃のストレスが爆発し、皿を投げつけてしまったと相談を受けました。
このように、第2ステップは認知症介護の中で最もつらい時期とされ、介護者の苦悩は極限に達します。乗り切るコツとして、まずは認知症に対する正しい知識を得る必要があります。どれほど家族思いの人であっても、認知症の正しい知識を持たないと介護は混乱するだけです。本やインターネットなど、気軽に手に取れるものから情報収集するとよいでしょう。