「海と月の迷路」大沢在昌著
<隔離された島で起きた“密室”事件>
N半島の沖合に浮かぶ炭鉱の島、軍艦島には、鉱夫など5000人以上が住んでいた。昭和34年、13歳の少女が海で死体となって発見される。赴任したばかりの荒巻巡査が死体を検分していたとき、「死因は」と尋ねた男がいた。下請けの組夫、長谷川だった。長谷川はさらに「満月のときは血が騒ぐ奴がいる」と謎の言葉をつぶやく。やがて、8年前にも13歳の少女が溺死した事件があったことが判明する。
外界から隔離された島という密室で、閉ざされた人間関係が生み出す犯罪を描いたサスペンス。
(毎日新聞社 1800円)