「京都の喫茶店」木村衣有子著
一方、「喫茶マドラグ」は一昨年開店したばかりのニューフェースだが、いずれも閉店してしまった「セブン」(創業昭和38年)の場所で、「みゅーず」(同昭和29年)の椅子とカトラリーを使い、洋食店「コロナ」(同昭和20年)の名物サンドイッチを受け継ぐ、立派な老舗なのだ。その店主、山崎三四郎裕崇氏は、カフェと喫茶店の違いを「自分たちの考えやカラー、文化を発信していくのがカフェ」に対して、喫茶店は「あくまで、人生の一部、生活の延長にあるもの」と語る。
その他、国の登録有形文化財に指定された「フランソア喫茶室」など。コーヒー好きならずとも一度は訪ねてみたい店ばかりで、京都の旅のサブテキストとしてお薦め。
(平凡社 1400円)