「経済政策のカラクリ」榊原英資著
■「政管融合」から「政管分離」へ
日本の政治は明治中期以来、政党と官僚が手を取り合う「政官融合」で進んできたが、90年代初めにはこれが終わり、官僚や民間企業出身の政治家が減少する「政官分離」が明白となったという。2世・3世の政治家が急増したのもこのころから。
一方、官僚は専門分野に特化し、退官後は金融機関や大学などに再就職する傾向となった。政治主導といいながらも政策に通じてない政治家が増えたのはこのためなのだという。典型的な2世政治家である安倍政権下では、ブレーンの多くが大蔵=財務省OBながら反主流派で、人事的にはライバルの経産省主導のシフトが進んだという。それゆえ財政再建よりも景気回復策を重視し、デフレを嫌ってリフレを好むわけだ。著者はかつて大蔵省(当時)財務官として金融ビッグバンの強力な推進役となった。いまでは早・慶・青学大などの教授を歴任しながら経産省主導のアベノミクス批判を続けている。
(朝日新聞出版 1600円)