「オオカミたちの隠された生活」ジム&ジェイミー・ダッチャー著、岩井木綿子訳
■野生のオオカミと暮らし、その生態を観察
さまざまな野生動物の記録映画を制作してきた著者夫妻は、撮影が難しいオオカミの生態を詳細に観察するため、6年間、アイダホ州のソートゥース山脈のふもとの原生地域でオオカミの群れとともに暮らした。本書は、間近で見た彼らの素顔を迫力ある写真とともに紹介しながら、オオカミと人類との関係を考察したネーチャーフォトブックだ。
駆除の結果、一時は絶滅状態に追い込まれたアメリカのハイイロオオカミは、1974年に絶滅危惧種に指定され保護が始まり、1990年代には野生に放つ再導入プロジェクトが動き始める。そのプロジェクトに先んじて、夫妻はオオカミのために最適の地を選び出して柵で囲い(広さ10ヘクタール)、保護センターから譲り受けた大人2頭、子供4頭を放った。キャンプ生活を送りながら、子オオカミには自ら哺乳瓶で乳を飲ませ離乳食を与えて自分たちの存在に慣れさせたという。
さらに数年ごとに子オオカミを追加し、やがてリーダー格の雄と雌の間に初めての赤ん坊が生まれ、11頭の群れになるまでの過程を追う。