奇想天外の冒険物語 「イベリコ豚を買いに」野地秩嘉氏
「キャンティ物語」でデビューして20年。3~4年に1冊のペースで本を書いてきた。「ビートルズ」「おかま」「高倉健」「東京五輪」など時代を映す著作が多い著者にとって、今度の作品は自らが主人公という点で異質だ。
「沢木耕太郎氏がボクシングを題材にして書いた『一瞬の夏』みたいな、作者自身が主人公の本をいつか書いてみたいなと思っていたんです。スティーブン・キングはこう言っています。〈みんな物語を書くって簡単に言うけれど、それはほとんどあらすじを書いているだけ。あらすじには人は感動しない。物語というのは状況の設定が大事だ〉と。『人間』という素材だけじゃなく、『状況の設定』にこだわっていきたいと思っています」
作者自らの冒険ストーリーはこうして生まれたのか。
(小学館 1500円)
のじ・つねよし ノンフィクション作家。1957年東京都生まれ。早大卒。「キャンティ物語」「サービスの達人たち」など、食、美術、ビジネスといった幅広い分野の著書多数。「TOKYOオリンピック物語」でミズノスポーツライター賞優秀賞。