「ヴィジュアル歴史図鑑 世界の飛行機」リッカルド・ニッコリ著 中川泉・石井克弥・梅原宏司訳
ライト兄弟が動力を用いた飛行機で人類初の飛行に成功した1903年12月からわずか111年、人間は宇宙空間と地球との間を自在に行き来するまでになった。本書は、飛行機のその驚異的な発展の歴史を、時々に造られ活躍した飛行機の写真770点とともに詳述したビジュアル図鑑。
ライト兄弟よりもはるか昔、太古の時代から空は人類にとってあこがれの未開地だった。紀元前2000年には中国人が見張りのためにたこを使って人を空にあげたともいう。そんな中、15世紀に天才レオナルド・ダビンチが現れ、空を飛ぶという問題に初めて科学的で合理的なアプローチを試みる。そんな彼の飛行に関するデッサンに始まり、人類が最初に手に入れた航空輸送法である気球や飛行船など、まずはライト兄弟に至るまでの前史を振り返る。
そしてライト兄弟の飛行からわずか十数年後、飛行機は時速200キロに到達し、1920年代には最初の商用機まで登場する。その発展の引き金となったのが第1次世界大戦だ。大戦には各国から多くの飛行機が就役したが、当初は飛行機を攻撃に用いたり、飛行機同士が戦うことなど想定されていなかった。しかし、1915年に最初の近代的戦闘機「フォッカーEⅢ」(ドイツ)が導入され、大戦が終わるころにはすべての戦闘機がそれまでのロータリーエンジンから直列エンジンを装備するようになったという。さらに第2次世界大戦でより一層、戦闘機は進化し、プロペラを回転させて飛行するタイプの飛行機は能力の限界に達し、ジェットエンジンが開発され、飛行速度は音速の壁を突破する。ライト兄弟の時速19キロの初飛行からわずか44年後のことだ。