「縁もたけなわ」松田哲夫著
編集者の著者は、井上ひさしに「ひょっこりひょうたん島」のノベライズ版執筆を依頼したが、具体化の可能性はどんどん薄れていく。そこで、原稿用紙に井上の書癖を真似た字で、井上の著作「江戸の夕立ち」をもじって「版元の苛立ち」と題した戯文調の手紙を送った。すると、「ひょうたん島大統領ドン・ガバチョの印」を押した「大速達」が届いた。著者の手紙を読んで笑い転げた井上が、小説「ひょうたん島」の構想を送ってきたのだ。
著者が出会った作家のエピソード集。
(小学館 1800円)