【そうだ街歩きに出かけよう】東京近郊の「幻風景」に触れられるフォトブック
■「東京幻風景」丸田祥三著
実業之日本社(1800円+税)
街を歩きながらの風景撮影に興味のある人に薦めたいのが「東京幻風景」だ。主に廃虚や遺跡、建物跡地を被写体とする写真家が、東京近郊の「幻風景」を撮りためたフォトブック。年月を重ね、たたずまいが異世界のように幻想的な建築物もあれば、絵画のように緻密な思惑を施した視覚の揺らぎなど、独特の世界観が広がっている。被写体である建築物がたどった運命を簡潔な文章で記し、その趣のゆえんも知ることができる。また撮影データも細かく表記してあり、写真をかじる人にはありがたい教本に。
■「古本屋ツアー・イン・神保町」小山力也著
本の雑誌社(2000円+税)
もう一冊は古書マニア垂涎の「古本屋ツアー・イン・神保町」である。舞台は、言わずと知れた世界最強の古書街・神保町。ひしめく古書店のうち約150店舗を巡り、その店の空気感や間取り、店主の特徴や品揃えなどを細かくリポート。著者は全国の古本屋1500店舗を訪れた「古本屋ツーリスト」。決して冷やかしでは終わらせないところがすごい。鋭い観察眼で店内を見定め、基本的には古書を購入。最高額は8万円という筋金入りの古書マニアだ。魔窟のような古書店もこの本があれば怖くない。