「どうする定年」日経ヴェリタス編集部著
あてにならない年金と激動の社会情勢を背景として、定年後どう生きるかは多くの人にとって今や切実な問題となっている。本書は、会社卒業が見えてきた50歳に、果たしてどんな戦略を立てて準備すべきなのかを、架空の企業「山谷電機」の同期入社組3人の事例をもとに小説仕立てで紹介した一冊だ。
登場するのは、出世街道を進んできたものの就活に失敗した長男が気がかりな計順平、2歳の娘を抱えて子供の教育費が不安な風任成行、男女雇用機会均等法1期生の女性部長であり老親の介護が迫るおひとりさまの高嶺華代の3人。人生の第2ラウンドに遭遇しやすい親との同居や介護とキャリアの関係、相続問題、子供の就活、晩婚晩産で定年後にも必要となった教育費などの話題のほか、不動産購入で直面する問題や少額投資非課税制度(NISA)を活用した資産形成なども紹介。それぞれの個人事情に合った老後対策を考えるための、肩のこらないマネー本となっている。
(集英社 1200円+税)