「覇王の贄」矢野隆著
天正9年、信長に拝謁した秀吉は、主の小姓と無二斎と名乗る男の戦いを見せられる。めった打ちされた小姓はあっけなく息絶え、無二斎はさらに信長が用意した腕自慢を次々に倒していく。
無二斎は武器は問わず一対一の戦いなら負けぬと豪語。信長から、無二斎を殺せる者を連れてこいと命じられた秀吉は、その真意を推し量り悩む。信長自慢の無二斎を本当に殺してしまってよいものか。気まぐれな信長のことゆえ、判断を間違えば自分の地位さえ危うくなると感じた秀吉は、小六が連れてきた山賊の頭領を差し出す。(「壱の贄 秀吉」)
信長臣下の名将たちが選んだ強者と無二斎との勝負を描く連作時代小説。(光文社 1500円+税)